この記事では、官公庁・自治体における給付支援サービス/システムの導入事例を10個紹介させていただきます。各事例を理解しやすくするために、以下3つの情報をサマライズしてお届けさせていただきます。
1. 🔍課題や背景
2. 👍選んだ理由
3. 🚀導入効果
官公庁・自治体にてSaaS選びをする際は、事例を参考にすることがとても大切なステップになるため、是非ご活用ください。
1. 秋田県湯沢市(導入:GovTech Express)
秋田県湯沢市は2024年、GovTech Expressを導入し、LINE申請とセブン銀行ATM受取により、給付金を最短1日で支給し、業務効率化と住民満足度向上を実現しました。
・エネルギー価格や食費等の物価高騰の影響を受けている子育て世帯への支援が必要
・従来の給付金手続きでは紙申請の審査から振込まで2〜3週間かかっていた
・紙申請のシステムへの手入力作業が必要だった
・⚡ 給付金を早く受け取ることができる(通常3週間程度→最短3日)
・📱 24時間どこでもスマホで申請手続きが可能
・📄 銀行口座の通帳等の写しの提出が不要
・💻 システムへのデータ入力が不要
・📞 申請不備による電話連絡や訂正印のやり取りが不要
対象者1,081人のうち過半数(約55%・604人)がLINE経由で申請し、最短で申請から1日で給付を実現。LINE経由申請者の98%が便利と回答。紙申請のシステム手入力作業が不要となり、申請不備の電話連絡や訂正印のやり取りが削減された。給付期間中に約1,000人のLINE友だち登録が増加。
2. 山形県寒河江市(導入:給付支援サービス)
寒河江市(山形)は2024年2月、デジタル庁「給付支援サービス」を導入。マイナポータル上で非課税世帯給付の申請~振込を完結し、転記ゼロ・迅速支給を実現。
・コロナ禍における特別定額給付金等の各種給付金の事務処理において、申請や審査、結果通知がデジタル化されていなかったことにより給付に時間を要する、手間がかかるなどの課題が表面化
・1,741の基礎自治体がばらばらにシステム開発するのは合理的でない
・申請から振込までのプロセスをデジタル完結させ、迅速・効率的な給付を実現する必要性
・💻 面倒な申請書記入が最小限にできる
・📄 添付書類を省略することもできる
・📱 マイナポータル上で申請のステータスを確認できる
・🔄 本人申請内容をデータで提供することで、システムを用いて審査業務を効率化できる
・📝 紙で受け取ったものの転記・再確認等もないため事務処理負担を大幅に削減することができる
紙ベースで2週間以上掛かっていた給付審査・振込を最短3日に短縮し、住民・職員双方の負担と問い合わせを大幅に削減しました
3. 静岡県浜松市(導入:LoGoフォーム)
静岡県浜松市は2020年、LoGoフォームを導入し、特別定額給付金の振込データ作成業務を効率化し、迅速な支給と職員の事務負担軽減を実現しました。
・新型コロナウイルス感染拡大による緊急経済対策として10万円給付金の迅速な支給が必要
・手書き申請書の振込データ登録作業が非効率
・収入減などで早期支援を必要とする市民への迅速な対応が求められた
・職員の事務負担軽減が必要
・⚡ 申し込みからわずか2~3日で導入可能
・👥 複数職員での同時入力が可能
・🔢 給付金額の自動計算機能
・🚫 二重給付防止の重複チェック機能
・📊 全銀協フォーマットに沿った入力制御
・📋 申請対応のステータス表示機能
・💰 無料トライアル期間のため導入費用ゼロ
構築着手からわずか4日で本番系環境をリリース。従来のエクセルなどの方法と比べて入力ミスの軽減、複数職員での同時入力による業務スピード向上、全銀協フォーマットの入力制御により振込データの精度が格段に向上、重複データのエラー判定により二重給付のリスクが低減されました。
4. 兵庫県加古川市(導入:kintone)
2020年5月、kintone+フォームブリッジでオンライン申請を独自構築し、重複支払いゼロ・事務処理速度10倍で特別定額給付金を円滑給付。
・新型コロナウイルス対策として特別定額給付金の迅速な給付が必要
・マイナポータルからのオンライン申請データを紙に印刷して処理する非効率性
・11万世帯以上の紙申請書類を職員が手入力する負担
・重複申請のチェックと管理の困難さ
・💻 エクセルの代わりとして使いやすい
・⚡ 短期間でアプリ作成が可能
・🔄 デジタルデータのまま処理できる効率性
・🔍 重複申請を簡単に検索・チェック可能
・📱 外注せずに内製で開発可能
事務処理スピードが10倍に向上し、1時間あたり114件の処理が可能になりました(従来は12.8件)。マイナポータルからのデータをデジタルのまま処理することで大幅な時間短縮を実現し、重複支払いも防止できました。バーコードリーダーを活用した紙申請の効率化により、照会番号の読み込みと口座情報入力のみで処理が完了するようになりました。
5. 鹿児島県奄美市(導入:WinActor)
鹿児島県奄美市は2020年、WinActorとNaNaTsu AI-OCRを導入し、特別定額給付金の申請処理を自動化し、職員の負担軽減と迅速な給付を実現しました。
・特別定額給付金の給付に20名以上の職員を動員し、申請書類の開封、仕分け、チェック、入力などの単純業務が必要
・給付完了まで2か月以上かかる予定だった
・職員の時間外労働や休日勤務が発生し、労働負担が大きかった
・庁内全体の定型業務が多く、業務効率化が必要だった
・🇯🇵 完全日本語版で扱いやすい
・📞 電話やメール、デスクトップ共有などの遠隔技術相談が可能
・👥 職員自らがシナリオ作成に関われる
・🔍 AI-OCRとの組み合わせで手書き文字を高精度に認識可能
・⚡ 大量の申請書類を自動処理できる
1日最大3,900件の申請を処理できるようになり、当初20名以上の職員動員予定が開始11日目には追加動員が不要となりました。3週間後には対象世帯の86%にあたる20,619世帯に振込みを完了。特別定額給付金業務に携わる職員の時間外労働や休日勤務がなくなり、職員は本来の業務や人間にしかできない住民サービスに時間を割くことができるようになりました。
6. 東京都世田谷区(導入:Blueship)
2024年7月、ServiceNow基盤の給付金システムをBlueship×ベルシステム24が導入。電子申請は最短30秒、AI-OCRで紙申請も自動取込し、問い合わせ管理と20時対応で職員工数を大幅削減。
・対象者への迅速な給付金支給の実現
・区職員の負担軽減の両立
・行政サービスのRe-Designとして「行かない 書かない 待たない」をテーマとした新たな窓口プロジェクトの推進
・手続き・相談のオンライン化プロジェクトなどの自治体DXの推進
・🖥️ 電子申請の導入及び誘導策の強化
・⚡ 受付や審査体制の効率的な構築及び運用
・👥 区職員・事務スタッフの工数削減の施策やサポート体制
・🔄 申請から承認・給付金の振込データ作成までのワークフローに一気通貫で対応
・📱 電子申請が最短30秒で完了する導線設計
・🤖 AI-OCRの活用によりシステム上に簡単にデータを取り込む機能
公開情報なし
7. 佐賀県武雄市(導入:Graffer)
2025年2月、Grafferスマート申請+手続きガイドでスーパーファストパスに対応し支給まで最短3日へ短縮。入力ミス・問い合わせ減で職員負荷を軽減し、内閣府から先進自治体認定。
・コロナ禍以降増加している給付金対応が自治体にとって大きな人的リソースを伴う事務となっている
・給付金の迅速な支給と職員の負荷軽減が必要
・市民から「一刻も早く給付金を給付してほしい」という問い合わせが寄せられていた
・過去には振り込みまでの期間が想定よりも遅れたケースがあった
・🔧 既に導入していたグラファーのシステムを組み合わせることでスーパーファストパスへの対応が実現可能
・💰 デジ田交付金を活用する形で全庁導入済みのシステムを活用
・📋 給付対象かどうかを判定するサービスを追加導入する形で対応可能
・🏆 南九州市の事例を参考にした実績
給付金の受け付け開始から支給までの期間を最短2週間から最短3日に短縮。手作業で入力していた申請情報がデータで取り込めるようになり入力ミスが削減。市民からの問い合わせも減少し職員の業務負荷が軽減。システム準備時間も初回の2週間から現在は数時間で完了するまで効率化。
8. 東京都東京都荒川区(導入:Salesforce)
2020年5月、Salesforce基盤「特別定額給付金管理システム」を採用。オンライン・郵送申請を一括管理し二重支払い防止と進捗可視化により迅速給付を実現。
・特別定額給付金の受付から給付までの一連の申請管理が必要
・住民一人ひとりへスムーズな支払いができるよう準備が必要
・給付金事務の迅速な実施と業務効率化が必要
・💻 オンラインと郵送の両方の申請情報をまとめて管理可能
・🔒 LGWAN(閉域網接続)経由でセキュリティ面で安心・安全
・📊 受付直後から給付金支払いまで区民一人ひとりの申請状況を一括管理可能
・⚡ 給付金事務の迅速な実施と業務効率化を実現
公開情報なし
9. 大阪府八尾市(導入:Chobiit)
2020年6月、kintone+Chobiitで事業者サポート給付金オンライン申請を2週間で構築。窓口不要で申請受付し、Slack活用の官民チームで感染対策と職員作業短縮を両立。
・新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上が減少した市内事業者への事業継続支援
・給付金申請の効率的な処理システムの構築
・💻 オンライン申請システムによる非対面での申請受付
・🔐 ログイン認証による申請者の本人確認
・📎 添付ファイルのチェック機能による申請内容の精度向上
・⚡ kintoneとの連携による申請データの自動登録
申請から最短6日で給付が実現され、職員はオンライン申請された内容が自動でkintoneに登録されるため、すぐに内容のチェックに入ることができるようになりました。修正が必要な場合も申請者が再度ログインして再申請できるため、処理がスムーズになりました。
10. 滋賀県米原市(導入:共通プラットフォーム)
2022年度から共通プラットフォーム(現:CONNECT-id)を活用しマイナポイント1万ptを1〜2名体制で付与。自動判定で手作業ほぼゼロ、カード交付率54%→82%へ向上し地域DXとキャッシュレス化を推進。
・給付事業における事務作業の人員や時間、振込手数料などが自治体の負担となっていた
・マイナンバーカード交付率が伸び悩んでいた
・従来の給付事業では書類の封入作業や記載内容の確認などで全庁に応援を頼む必要があった
・💰 従来の給付事業と比較して手間や費用が抑えられる
・📱 複数の決済事業者との契約が可能で住民の選択肢が広がる
・🔄 申請受理から結果の集計、精算まで各種作業がデジタルで完結
・⚡ 迅速な給付が可能
・🤝 事務局のサポートが手厚く安心して取り組める
1~2人の職員だけで施策実施まで行うことができ、従来の特別定額給付金事業では4~5人が常駐していた人員を大幅削減。マイナンバーカード交付率が令和4年10月の54.1%から令和5年10月には82.6%まで向上。申請不備の確認や決済事業者へのポイント付与指示が不要となり、業務の大幅な効率化を実現。