自治体特化】給与計算に関する用語集

こちらのページでは、自治体向け給与計算システムで頻出する専門用語について、Q&A形式で定義・実務上のポイント・参考リンクを整理しています。
例)人事院勧告、会計年度任用職員、級号給制、標準報酬月額、俸給表、各種手当など、実務で必要な知識を22項目で網羅しています。

収録内容

22
収録用語数
5
カテゴリ分類

基本概念・制度関連

Q. 人事院勧告とは?
労働基本権制約の代償措置として、職員に対し社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保するため、国家公務員の給与水準を民間の給与水準と均衡させることを基本として毎年行われる勧告。
Tips:実務上のポイント
地方公務員の給与改定でも人事院勧告が基準となることが多く、システムでは勧告内容を基にした遡及計算や差額支給処理が必要。勧告時期は通常8月頃で、システムは年末調整前の処理に間に合わせる必要がある。
Q. 職務給の原則とは?
職員の給与は、職務と責任に応ずるものでなければならないという地方公務員法第24条第1項に規定される原則。
Tips:実務上のポイント
年功序列的な給与体系から職務・職責を重視した給与体系への移行が進んでおり、システムでは職務の級と号俸の組み合わせによる自動算定機能が重要。人事評価結果を昇給・昇格に反映させる仕組みの構築が求められている。
Q. 級号給制とは?
公務員の給与決定において、職務の複雑・困難・責任の度合いに応じた「級」と、職務経験年数による習熟度を反映した「号俸」の組み合わせで支給額を決定する制度。
Tips:実務上のポイント
級の上昇が「昇格」、号俸の上昇が「昇給」にあたり、システムでは成績区分に応じた昇給号俸数の自動判定機能が必要。優良で4号俸、非常に優秀で6号俸、卓越して優秀で8号俸以上の昇給が標準的。
Q. 俸給表とは?
公務員の基本給を決定するため、職務の種類(行政職、技能労務職、医療職、教育職等)に応じて設けられた給与体系表。
Tips:実務上のポイント
国家公務員では17種類の俸給表が存在し、行政職俸給表(一)が最も一般的。地方公務員では一般行政職、技能労務職、医療職、教育職等に分かれており、システムでは職種に応じた適切な俸給表の自動選択機能が必要。

会計年度任用職員関連

Q. 会計年度任用職員とは?
令和2年度から導入された制度で、一会計年度内の期間で任用される地方公務員の雇用形態。
Tips:実務上のポイント
フルタイム(週38時間45分)とパートタイム(週15時間30分以上)に区分され、それぞれ異なる手当支給要件がある。システムでは勤務時間数に応じた自動判定と手当支給可否の制御が必要。住居手当・扶養手当は原則支給対象外。
Q. 期末手当・勤勉手当とは?
期末手当は民間の賞与のうち一定率分に相当する手当、勤勉手当は考課査定分に相当する手当で、それぞれ6月・12月の基準日に支給される。
Tips:実務上のポイント
会計年度任用職員は令和2年度から期末手当、令和6年度から勤勉手当の支給が可能となった。基準日在職要件(6月1日・12月1日)と任用期間6か月以上、週15時間30分以上勤務の要件を満たす必要がある。

給与計算・手当関連

Q. 地域手当とは?
当該地域における民間の賃金水準を基礎とし、物価等を考慮して地域に在勤する職員に支給される手当。
Tips:実務上のポイント
東京都特別区では20%、横浜市・大阪市等では16%など、地域の級地区分に応じて支給割合が設定される。システムでは勤務地情報と級地区分マスタの連携による自動計算が必要。異動時は支給率変更の処理が発生する。
Q. 扶養手当とは?
扶養親族のある職員に支給される手当で、配偶者と子・父母等で支給額が異なる。
Tips:実務上のポイント
令和6年度人事院勧告により、配偶者手当は段階的に廃止され(8級以上は令和7年度廃止)、子手当は月額13,000円に増額される方向。システムでは扶養認定要件の自動判定と税制改正への対応が重要。
Q. 特殊勤務手当とは?
著しく危険、不快、不健康または困難な勤務など、著しく特殊な勤務に対して支給される手当。
Tips:実務上のポイント
28種類の手当が定められており、高所作業手当、深夜勤務手当、災害対策活動手当など業務内容に応じて支給額が設定される。システムでは勤務内容の自動判定と手当種別の選択機能が必要。
Q. 管理職手当とは?
管理または監督の地位にある職員に対して、その職責に応じて支給される手当(俸給の特別調整額)。
Tips:実務上のポイント
管理職手当支給者は時間外勤務手当の支給対象外となるため、システムでは職位に応じた自動判定機能が必要。地域手当の算定基礎にも含まれるため、連動計算の設定が重要。
Q. 時間外勤務手当とは?
正規の勤務時間を超えて勤務した職員に対し、勤務時間数に応じて支給される手当。
Tips:実務上のポイント
管理職手当支給者は対象外。計算単価は俸給月額と地域手当の合計額を基に算出される。システムでは勤怠データとの連携による自動計算機能と、職位による支給制限の制御が必要。
Q. 宿日直手当とは?
宿直勤務または日直勤務を命ぜられた職員に対して、勤務1回につき定額で支給される手当。
Tips:実務上のポイント
国家公務員では勤務1回につき4,400円から21,000円程度の範囲で設定される。勤務の態様に応じて金額が決定され、システムでは勤務形態の自動判定と対応する手当額の設定機能が必要。
Q. 初任給調整手当とは?
医師など特定の職種において、人材確保の観点から初任給を調整するために支給される手当。
Tips:実務上のポイント
主に医療職給料表(一)適用職員が対象で、地域に応じて416,600円以内で設定される。採用時の経歴や資格に応じて決定され、システムでは職種・資格情報に基づく自動判定機能が重要。
Q. 単身赴任手当とは?
異動等に伴い、配偶者等と別居して単身で生活することとなった職員に支給される手当。
Tips:実務上のポイント
国家公務員では基本額月額30,000円に、家族住所から赴任先までの距離に応じた加算額が支給される。システムでは住所情報の管理と距離に応じた自動計算機能、支給要件の確認機能が必要。
Q. 通勤手当とは?
通勤のため、交通機関等を利用又は自動車等を使用している職員に支給される手当。
Tips:実務上のポイント
令和6年度改正により支給限度額が月額150,000円に引き上げられ、原則全額支給となった。システムでは通勤経路・手段の管理機能と、最経済路線の自動算出、支給限度額の制御機能が重要。
Q. 住居手当とは?
借家・借間に居住する職員等に支給される手当で、家賃額に応じて月額最大28,000円まで支給される。
Tips:実務上のポイント
月額16,000円を超える家賃を支払っている場合に支給され、家賃額に応じた段階的支給となる。単身赴任手当受給者の配偶者等住居にも適用される。システムでは家賃情報の管理と自動計算機能が必要。

共済・社会保険関連

Q. 標準報酬月額とは?
共済組合の掛金や各種給付金の算定基礎となる報酬月額を、事務処理の便宜上標準化した金額。
Tips:実務上のポイント
毎年4-6月の報酬平均額により定時決定され、9月から翌年8月まで適用される。昇給・昇格等により2等級以上変動した場合は随時改定が必要。システムでは月額変動の自動監視と改定処理が重要。
Q. 定時決定とは?
標準報酬月額を毎年定期的に見直すため、4-6月の報酬月額の平均を基に標準報酬月額を決定する手続き。
Tips:実務上のポイント
原則として年1回実施され、9月から翌年8月まで適用される。給与システムでは4-6月の支給実績を自動集計し、標準報酬月額を算出する機能が必要。共済組合への報告データ作成も重要な機能。
Q. 随時改定とは?
昇給・昇格等により報酬に著しい変動があった場合に、標準報酬月額を改定する手続き。
Tips:実務上のポイント
固定的賃金の変動後3か月間の報酬平均額で算定し、2等級以上の差がある場合に実施される。システムでは月額変動の自動監視機能と改定要件の自動判定が必要。育児休業等終了時の特例改定にも対応が求められる。

退職・システム関連

Q. 再任用職員とは?
定年退職後に短時間勤務または常勤職員として再び任用される職員。
Tips:実務上のポイント
給与は再任用時に職務の級が新たに決定され、一般的に現役時より低い級となる。昇給制度は適用されず、扶養手当・住居手当等は支給対象外。システムでは再任用時の級決定ロジックと手当支給制限の制御が必要。
Q. 退職手当とは?
退職した職員に対して支給される手当で、退職手当の基本額と調整額の合計額。
Tips:実務上のポイント
多くの自治体では職員退職手当組合から支給される。基礎となる給料月額に勤続年数に応じた支給率を乗じて算定。システムでは勤続年数の自動計算と支給率の適用、源泉徴収票作成機能が必要。
Q. 遡及計算・差額支給とは?
人事院勧告等による給与改定が年度途中に行われた場合、4月に遡って計算し直し、差額分を支給する処理。
Tips:実務上のポイント
通常12月に差額支給が行われ、4月から12月分までをまとめて支給する。地域手当や時間外勤務手当も含めて計算される。既退職者にも適用されるため、システムでは退職者データの保持と差額計算機能が必要。
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