🔰 はじめに
デジタルマーケットプレイス(DMP)とは、デジタル庁が提供する、行政機関がクラウドソフトウェア(SaaS)を迅速に調達できる環境を整備するための新たな調達手法です。
本記事では、事業者の皆様がDMPに参加するための具体的な手順を、基本契約の締結から登録手続き、審査・公開までの流れまで詳しく解説します。
📝 基本契約の締結手順
デジタルマーケットプレイスに参加するためには、まずデジタル庁との基本契約締結が必要です。基本契約を締結することで、DMPカタログサイトへのソフトウェアおよびサービスの登録が可能になります。
DMPへの参加に必要な前提条件
DMP参加には以下の前提条件を満たす必要があります:
ハードウェアを含む調達は対象外です。また、企業内部で使用するサービス(例:ゲーム、エンターテイメント等)も対象外となります。
全省庁統一資格の取得方法
全省庁統一資格は、政府調達(公共調達)に参加するために必要な資格です。以下の手順で取得します:
「統一資格審査申請を行う」から申請情報を入力
財務諸表、登記事項証明書などの必要書類を添付
審査完了後、資格審査結果通知書が発行される
必要な資格の種類
| 事業者タイプ | 必要な資格 |
|---|---|
| 直販会社および代販事業者 | 「物品の販売」および「役務の提供等」の双方の資格 |
| 製造事業者 | 「物品の製造」を含むいずれか1つの資格 |
令和7年度(2025年度)にDMPカタログサイトへ登録する場合は、令和7・8・9年度(2025-2028年)に有効な全省庁統一資格が必要です。資格の取得には1〜2ヶ月程度かかる場合がありますので、早めに手続きを開始してください。
GビズIDプライムの取得手順
GビズIDは、行政手続きを行うための共通認証システムです。DMP参加には「GビズIDプライム」または「GビズIDメンバー」アカウントが必要です。
「GビズIDプライムを作成」から情報を入力
印鑑証明書と登録印で押印した申請書を郵送
審査完了後、アカウント情報が発行される
GビズIDプライムを取得した後、必要に応じて同じ組織内の他のメンバー用に「GビズIDメンバー」を作成できます。メンバーアカウントでもDMP登録・管理が可能です。
基本契約の締結プロセスとポイント
全省庁統一資格とGビズIDを取得後、デジタル庁との基本契約を締結します。
取得したGビズIDでログイン
基本契約書の内容を確認し、同意する
同意後、デジタル庁との基本契約が締結される
基本契約のポイント
基本契約で押さえるべき重要ポイント
契約後の義務と責任を明確化
事業者が守るべき5つの重要事項
📋 登録に必要な書類と情報
基本契約締結後、DMPカタログサイトに事業者情報、ソフトウェア情報、サービス情報を登録します。それぞれに必要な情報と書類を確認しましょう。
事業者情報の登録に必要な書類
事業者情報の登録には以下の情報と書類が必要です:
| 必要情報/書類 | 詳細 |
|---|---|
| 基本情報 | 法人番号、法人名・屋号、住所、代表者名(GビズIDから自動取得) |
| 事業者情報 | 事業内容、従業員数、資本金、設立年月など |
| 全省庁統一資格情報 | 資格の種類、等級、有効期間 |
| 連絡先情報 | 担当部署、担当者名、電話番号、メールアドレスなど |
| ウェブサイト情報 | 企業ウェブサイトURL |
GビズIDから取得する情報(法人番号、法人名、住所、代表者名)は、DMPカタログサイト上で修正することはできません。変更が必要な場合は、GビズID側で情報を更新する必要があります。
ソフトウェア情報登録の必須項目
ソフトウェア情報の登録には以下の項目が必要です:
| カテゴリ | 必須項目 |
|---|---|
| 基本情報 | - ソフトウェア名 - ソフトウェアの概要 - 目的タグ(行政、業務効率化など) - 機能タグ(文書管理、データ分析など) |
| 機能情報 | - 主要機能の説明 - 特長・メリット - サポートしている言語 |
| 技術情報 | - 動作環境 - アクセシビリティ対応状況 - セキュリティ情報 - ガバメントクラウド対応有無 |
| 導入実績 | - 行政機関での導入実績(あれば) - 全体の導入実績数 |
| 添付資料 | - ソフトウェアの画像(最大5枚) - 製品カタログ(PDFなど) |
ソフトウェア情報は行政機関が検索・比較する際の重要な判断材料となります。特に「目的タグ」と「機能タグ」は検索に直接影響するため、適切に設定してください。
サービス情報登録の必須項目
サービス情報(販売情報)の登録には以下の項目が必要です:
| カテゴリ | 必須項目 |
|---|---|
| 価格情報 | - ライセンス形態(ユーザー単位、組織単位など) - 標準価格 - 価格体系(月額、年額など) - 最低利用期間 |
| サポート情報 | - セットアップサービス有無と内容 - 契約者向けヘルプデスク対応 - 利用者向けヘルプデスク対応 - サポート対応時間 |
| 契約情報 | - 利用規約/約款 - SLA(サービスレベル合意) - データの取扱いに関する情報 |
| 販売条件 | - 販売地域 - 最小・最大契約ユーザー数 - 支払条件 |
ソフトウェア会社(開発元)と販売会社(リセラー)では登録する情報が異なります。ソフトウェア会社は製品情報を、販売会社はサポートや販売条件の情報を登録します。ソフトウェア会社が直接販売する場合は、両方の情報を登録します。
登録情報の公開/非公開範囲について
DMPに登録する情報には、一般公開される情報と行政ユーザーのみに公開される情報があります。
情報公開範囲の区分
公開範囲を理解して適切な情報登録を行う
一般公開と行政ユーザー限定の2区分
登録した標準価格情報は一般には公開されませんが、行政ユーザーがログインすると閲覧できます。ただし、DMPでの価格は目安であり、最終的な契約価格は個別契約時に決定されます。
🔧 サービスの掲載手続きの流れ
基本契約の締結後、DMPカタログサイトに具体的な情報を登録する手順を解説します。登録は、事業者アカウント作成→ソフトウェア情報登録→販売サービス情報登録の順に進めます。
事業者アカウントの作成手順
DMPカタログサイトにアクセスし、事業者アカウントを作成します。
DMPへの登録には、「ソフトウェア会社」と「販売会社」の2種類があります。ソフトウェア会社はソフトウェアを開発・提供する企業、販売会社はソフトウェアを販売する代理店等を指します。自社でソフトウェアを開発し直接販売する場合は、両方の役割を兼ねることになります。
ソフトウェア情報の入力方法
事業者アカウント作成後、ソフトウェア情報を登録します。
「ソフトウェア登録」メニューから、ソフトウェア名、概要、対象ユーザー、利用シーンなどの基本情報を入力します。
ソフトウェアの用途(行政向け、業務効率化など)や機能(文書管理、データ分析など)に関するタグを選択します。適切なタグ設定は検索結果に大きく影響します。
動作環境、セキュリティ対応状況、アクセシビリティ対応状況などの技術情報を入力します。ISMAP登録有無やISO認証取得状況などもここで登録します。
行政機関での導入実績(あれば)や、全体の導入実績数を登録します。具体的な導入先名の記載は必須ではありませんが、行政機関名の記載は評価されます。
ソフトウェアの画像(最大5枚)と製品カタログ(PDF)をアップロードします。画像は視覚的にわかりやすいUIのスクリーンショットが効果的です。
ソフトウェア情報は行政機関の検索結果に直接影響します。特に「目的タグ」「機能タグ」は重要な検索条件となるため、適切に設定してください。誇大な表現や不正確な情報は審査で却下される可能性があります。
販売サービス情報の登録方法
ソフトウェア情報の登録後、販売サービス情報を登録します。
販売会社(リセラー)の場合は、販売するソフトウェアを選択した上で、自社が提供するサポートサービスや販売条件を登録します。ソフトウェア会社が直接販売する場合は、自社ソフトウェアに対する販売条件を登録します。
登録時の注意点とベストプラクティス
DMPへの効果的な登録のためのポイントをご紹介します。
効果的な登録のポイント vs 避けるべき点
登録品質を高め審査通過率を向上
成功パターンと失敗パターンの対比
⏱️ 審査・公開までのタイムライン
登録情報の申請後、デジタル庁による審査を経て公開されるまでのプロセスを解説します。審査をスムーズに通過し、早期公開を実現するためのポイントも押さえましょう。
登録情報の審査プロセス
申請された情報は、デジタル庁のDMP事務局によって審査されます。審査のプロセスは以下の通りです:
審査では、提供されるSaaSが行政利用に適しているか、登録情報に誤りや不適切な表現がないか、セキュリティ要件を満たしているかなどが確認されます。
審査のポイントと通過のコツ
審査をスムーズに通過するためのポイントをご紹介します。
| 審査項目 | 審査ポイントと対応策 |
|---|---|
| 資格要件 | - 全省庁統一資格の有効性を確認 - 適切な資格区分(物品の販売/役務の提供等)を保有しているか確認 |
| ソフトウェア要件 | - 行政サービスまたは行政事務処理目的のSaaSであることを明確に - オンプレミスではなく、クラウドベースのソフトウェアであることを確認 - ハードウェアを含む製品でないことを確認 |
| セキュリティ要件 | - セキュリティ対策の具体的な記載 - 認証取得状況(ISO27001など)の明記 - ISMAP登録有無の明記 - データの保管場所(国内/国外)の明記 |
| 登録情報の正確性 | - 客観的事実に基づく記載 - 誇大表現や不適切な表現の回避 - 行政利用に関連する情報の具体的な記載 |
審査で差戻しとなる主な理由として、「必要書類の不足」「セキュリティ情報の不足」「不適切な表現や誇大表現」「行政利用に適さないソフトウェア」などがあります。申請前に十分な確認を行ってください。
審査から公開までの期間
DMPへの登録申請から公開までの一般的なタイムラインは以下の通りです:
(即日)
(約1週間)
(約1週間)
(1〜2営業日)
申請から公開までの目安は約2〜3週間です。審査の混雑状況や追加情報の要求有無により、期間は前後する場合があります。
各年度のDMP参加申請には締め切りがあります。令和6年度(2024年度)のDMPカタログサイトへの事業者申請は令和7年(2025年)2月28日までとなっています。次年度以降の申請スケジュールはデジタル庁からの公表をご確認ください。
登録後の情報更新と管理方法
DMPカタログサイトに公開された情報は、事業者の責任で最新の状態に保つ必要があります。
定期的な更新が必要な情報
情報更新の手順
DMPに登録すると、行政機関から直接問い合わせやデモ依頼、見積依頼などが届く可能性があります。基本契約では、これらの問い合わせに誠実に対応することが求められています。迅速かつ丁寧な対応を心がけましょう。
登録情報が最新でない場合や、行政機関からの問い合わせに適切に対応しない場合は、基本契約違反となり、DMP掲載が取り消される可能性があります。特に価格情報や機能情報は常に最新の状態を保つよう注意してください。