2026.07.14 閣議決定

法改正・制度・政府のアレコレ

第Ⅱ期AI基本計画で、自治体AIは何が具体化したのか

第Ⅱ期AI基本計画は、国のAI政策の基本的な方向と、政府が進める施策をまとめた計画です。この記事では、「源内」で公開された一部のソースコード(OSS)、オンライン完結、業務自動化など自治体に関わる内容と、各自治体でこれから決める条件を、一次資料と対話で分けます。

公開日 2026.08.19最終更新 2026.07.20
このページでわかること。第Ⅱ期AI基本計画を中心に、AI法と基本計画の役割、第Ⅰ期からの変化、「源内」の一部OSS、自治体AX、自治体で決める実装条件、予算・調達で別に確かめることの六つを示した図解。
第Ⅱ期AI基本計画で具体化した方向と、後続資料・各自治体の実装で確認する条件出典:第Ⅰ期 人工知能基本計画・本文6〜8頁、第Ⅱ期 人工知能基本計画・本文8〜9頁、21頁、AI法の概要・概要1頁、ガバメントAI「源内」をOSSとして公開しました

第Ⅱ期で一段具体化したのは、自治体に一律の導入義務を課すことではなく、国の支援手段と、自治体業務をどこまで変えようとしているかです。第Ⅰ期の「導入環境の整備」「利用例の横展開」に、「源内」の一部OSSと、オンライン完結・業務自動化を含む自治体AXが加わりました。

一方、この計画だけでは、自治体ごとの財源、対象業務、完成サービスの提供条件、運用責任までは決まりません。図の1〜4が計画の位置づけと具体化した方向、5と6が各自治体の実装や後続資料で確認する条件です。

※この対話は、自治体職員が抱きやすい疑問をもとに編集部が構成したもので、実在の人物への取材ではありません。

自治体職員

AI基本計画が新しくなったそうですが、自治体もAIを入れなさい、という話ですか?

編集部

そこは違うよ。これはAI法そのものではなく、国が進める施策を示した基本計画なんだ。自治体の導入期限や罰則を決めた文書ではないよ。

自治体職員

では、国の役所の話で、うちの市はまだ気にしなくてもいいんでしょうか。

編集部

いや、関係はある。今回は「源内」のOSSを使った自治体支援と、自治体業務の構造変革が明記された。自治体との接点は前より具体的になったよ。

自治体職員

支援というのは、ソースコードを使えるという話ですか。それとも、完成したサービスが提供されるんですか?

編集部

今回決まったのは支援の方向だね。コードの無償公開、完成サービスの提供、自治体向け財源は同じ話ではない。方針と導入条件を分ける必要があるよ。

第1章

基本計画では、自治体の導入期限・罰則は決まっていない

AI法に地方公共団体の責務はありますが、第Ⅱ期計画が自治体ごとの導入期限や罰則を追加したわけではありません。政府の政策根拠と、各自治体が実施を決める根拠を分けます。
自治体職員

最初の図を見ると、国の支援方針は具体的になったけれど、うちの市に新しい導入義務が生じたわけではないんですね。

編集部

そうだね。AI法には地方公共団体の責務が置かれている。ただ、この基本計画が自治体ごとの導入期限や罰則を追加したわけではないよ。

自治体職員

AI法の責務と、基本計画に書かれた施策は、どう分けて読めばいいんでしょうか。

編集部

AI法は国と自治体を含む関係主体の役割を置く枠組みで、基本計画は国が進める施策を示す文書だよ。自治体が何をいつ実施するかは、別の制度や各自治体の判断まで確かめる必要がある。

自治体職員

では、閣議決定された計画を、庁内でAI活用を検討する背景として示すことはできますか?

編集部

そこには使えるよ。国が自治体向けの導入支援と業務変革を施策に置いた根拠になる。ただし、使える財源や調達仕様まで決まった証拠にはならないんだ。

自治体職員

「国が支援の方向を示した」とは言えるけれど、「何年度までに導入する」とは言えない、という線引きですね。

編集部

その線引きが大事だね。政府が決めた方針、資料から読み取れる意味、自治体がこれから決めることを分ければ、計画を大きくも小さくも見せずに済むよ。

第2章

第Ⅱ期では、「源内」の導入支援と自治体AXが加わった

自治体AIは第Ⅱ期で初めて登場したのではありません。第Ⅰ期の導入環境づくりと利用例の横展開に、具体的な支援手段と業務構造の変革が加わりました。
自治体職員

それなら、前の計画との違いを見れば、今回どこが進んだのか分かりそうです。第Ⅰ期にも自治体の話はあったんですか?

編集部

出ていたよ。第Ⅰ期は、自治体がAIを導入できる環境づくりと、優良な利用例の横展開まで書いていた。今回が最初ではないんだ。

自治体職員

では、「源内」のOSSも、第Ⅱ期の計画が決まってから初めて公開されたものではないんですか?

編集部

違うよ。「源内」の一部OSSは2026年4月24日に公開済みで、第Ⅱ期はその取組を自治体への導入支援として基本計画に位置づけたんだ。

自治体職員

既に始まっていた取組が計画に入り、自治体向け施策として扱われるようになった。では、もう一つの変化は何ですか?

編集部

オンライン完結や業務自動化を含む自治体AXだね。AIを導入できる環境だけでなく、自治体業務の構造を変えるところまで目標が具体化した。

第Ⅰ期の「導入環境」と「横展開」に、第Ⅱ期で「源内」OSSと自治体AXが加わり、支援手段と変える仕事の範囲が具体化しました。

第Ⅰ期では自治体のAI導入環境と優良な利用例の横展開、第Ⅱ期では源内の一部OSSによる導入支援と、オンライン完結・業務自動化を含む自治体AXまで具体化したことを示す比較図。
第Ⅰ期から続く方針と、第Ⅱ期で具体化した支援手段・業務変革出典:第Ⅰ期 人工知能基本計画・本文6〜8頁、第Ⅱ期 人工知能基本計画・本文8〜9頁、21頁
自治体職員

第Ⅰ期から続く二つの施策に、支援手段と業務変革が加わったんですね。

編集部

そうだね。第Ⅰ期からの継続と、第Ⅱ期で具体化した点を両方見るのが正確だよ。ただし、対象業務や自動化の範囲はまだ全国共通で決められていない。

第3章

「源内」のOSS化は、自治体支援の手段として計画に位置づけられた

第Ⅱ期計画は「源内」のオープンソース化を自治体のAI導入支援に位置づけました。ただし、完成サービスの提供条件、費用、保守はこの計画では決めていません。
自治体職員

第Ⅱ期計画から言えるのは、「源内」のOSS化が自治体支援の手段に位置づけられた、というところまでですか?

編集部

そうだね。計画は「源内」のオープンソース化を通じた導入支援を掲げた。ただ、完成サービスの提供条件、費用、保守まで決めた文書ではないよ。

自治体職員

では、何が公開され、どんな条件で再利用できるかは、基本計画だけで判断しない方がよいんですね。

編集部

うん。公開範囲と再利用条件は、専用の「源内」記事で扱うよ。ここでは、基本計画が自治体支援の手段として位置づけたことに絞ろう。

第4章

自治体AXはオンライン完結・業務自動化を目指し、対象範囲は導入時に決める

自治体AXは、オンライン完結と業務自動化まで含む仕事の見直しです。ただし、対象業務・自動化範囲・人の判断は実装側に残ります。
自治体職員

では、自治体AXというのも、「源内」のようなチャットを入れることではないんですね。

編集部

うん。計画は、オンライン完結の仕組みや業務の自動化を挙げて、自治体業務の構造変革を目指すとしている。利用者を増やすだけの話ではないよ。

自治体職員

オンライン完結や自動化という言葉は、申請から行政の判断まで、人を介さず終えるようにも聞こえます。

編集部

そこまでは書いていないよ。対象業務も自動化する範囲も示されていない。行政判断の完全自動化が決まった、と読み替えてはいけないんだ。

計画に書かれた自治体AXの方向には、対象業務や人が担う判断の全国共通仕様までは含まれていません。

自治体AXで計画に明記された優良な利用例の横展開、オンライン完結、業務自動化と、個別実装で確認する対象業務、自動化範囲、人が担う判断、データ、権限、運用を分けた図解。
自治体AXで計画に書かれた方向と、個別実装で確認する範囲出典:第Ⅱ期 人工知能基本計画・本文8〜9頁、21頁
自治体職員

図の下にある「人が担う判断」や「運用」は、全国共通で決まったルールではなく、実装時の確認事項なんですね。

編集部

そうだね。対象業務、AIへ渡すデータ、自動化する工程、人の確認、例外対応、運用責任を分けて決める必要がある。この計画には、その全国共通仕様までは書かれていないよ。

自治体職員

では、「源内」と自治体AXも、同じものとして扱わない方がよさそうですね。

編集部

うん。「源内」の一部OSSは自治体のAI導入を支える手段の一つで、自治体AXはオンライン完結や自動化まで含む、もっと広い業務変革の方向なんだ。

第5章

補助額・公募日程・完成サービスの条件は、基本計画では決まっていない

基本計画は企画の背景には使えますが、自治体が使える財源や調達条件の根拠にはなりません。予算、通知、公募、提供条件を別に確認します。
自治体職員

ここまでなら、「国が自治体業務の見直しまで掲げた」と、庁内企画の背景に書けそうです。予算要求の根拠にもできますか?

編集部

政策上の背景には使えるよ。ただし、自治体が使える財源や対象経費が確保された証拠にはならない。予算の裏づけは別の資料が必要だね。

自治体職員

財政担当から「いくら使えて、いつ申し込めるのか」と聞かれたら、この計画だけでは答えられないんですね。

編集部

そう。この計画には自治体向けの補助額・補助率、公募日程、完成サービスの提供条件は示されていない。予算資料、通知、公募、提供条件をそれぞれ確かめる必要があるよ。

自治体職員

計画は当面毎年変わるそうですが、それなら自治体も毎年何かを導入しなければならないのでしょうか。

編集部

それも違うよ。当面毎年変更するというのは、国が計画を更新する方針のことだ。自治体へ毎年の調達や導入期限を課す記述ではないよ。

自治体職員

では今は、使える財源や完成サービスを前提にせず、候補業務と必要な条件を整理するところまでなら進められそうです。

編集部

そうだね。国が具体化した方向は企画の背景に使い、費用、対象業務、提供条件は後続資料で確かめる。その分け方なら、庁内でも話を大きくしすぎずに済むよ。

計画で決まったことと、今後確認すること

基本計画は企画の背景になりますが、実際の予算要求や調達には別の根拠が要ります。現時点で決まった方向と、今後確認が必要な条件は次のとおりです。

計画で決まった方向

  • 「源内」のOSS化を通じた自治体のAI導入支援
  • 優良な利用例の横展開
  • オンライン完結・業務自動化を含む自治体AX
  • 基本計画を当面毎年変更する方針

この記事で今後確認する資料

  • 自治体向け財源、対象経費、補助率
  • 対象団体、提供条件、開始時期
  • 構築、クラウド、データ整備、保守の負担区分
  • 共同利用、調達条件、自治体向け通知

右側は政府が定めた一律の実施順序ではなく、この記事を更新するときに確認する資料群です。

更新履歴

  1. 冒頭図解を本文の先頭へ移し、章要約と会話を追加しました。文書状態カードと一次資料カードを外し、根拠を会話と図解へ移しています。

  2. 第Ⅱ期AI基本計画、第Ⅰ期計画、AI法概要、「源内」OSS公開資料を再確認し、初版を作成しました。