庁内RAG・文書検索AIの導入実態調査
「この手引き、最新版はどれだっけ?」
「契約処理の根拠、前回はどの通知・規程を確認したんだっけ?」
「閲覧してよい文書とそうでない文書を、AI側で分けられるんだろうか」
庁内の仕事では、こうした小さな確認が毎日のように発生します。庁内RAG・文書検索AIは、 この確認作業をどう変えようとしているのでしょうか。庁内RAGは便利そうですが、古い資料や閲覧できない文書まで拾わないかが不安です。
そこは最初に線引きしたいところだね。検索対象の文書、更新日、権限が曖昧なままだと、答えが自然でも使いにくくなるよ。
なるほど。契約処理の手引きや過去答弁なら、最新版や根拠が確認できないと困りますね。
うん。回答文より、どの文書のどの部分を根拠にしたかが大事。原文へ戻れる設計かどうかで、業務で使えるかが変わるよ。
ああ、そうなんですね。じゃあ製品を比べる前に、うちのどの文書を対象にするかを決める必要がありそうです。
その順番が自然だね。文書管理、ファイルサーバ、FAQ、過去答弁のどれから始めるかで、準備するデータも権限設定も変わる。その違いも事例をもとに確認していくね!

庁内RAG・文書検索AIの出発点は、派手なAI活用というより、 「あの資料、どこにありましたっけ」を減らすことです。契約事務の規則、会計処理のマニュアル、 議会答弁の過去資料、食品衛生の類似事案、異動後の引継ぎ資料。公開事例では、職員が必要としているのは、 回答文の自然さよりも、説明に使える根拠文書へ早くたどり着き、原文を開けることでした。
公開資料で確認できる事例は、政令市だけでなく中核市、一般市、県庁にも広がっています。地域の広がり以上に確認したいのは、 対象文書、参照元、更新日、閲覧権限、職員が原文を確認する工程の違いです。
地域名よりも先に分けたいのは、業務の違いです。契約・会計・庶務ではマニュアルや規則、 議会対応では会議録や過去答弁、専門行政では法令通知や疑義解釈、異動・引継ぎでは前任者が残した資料が中心になります。 公開事例を部署と業務で分けると、対象文書、利用場面、効果、精度を保つ運用、 製品・導入型の違いが見えてきます。RAGは回答を任せる道具というより、職員が根拠文書を探し、 最後に原文を確認するための仕組みとして位置づけると、導入前に決めることも具体化します。
第1章
どの自治体・部署・業務で使われているのか
導入地域、使われ方、対象文書をつかむ確認できた自治体は、首都圏や大都市だけに偏っていません。公開資料には、政令市、中核市、一般市、 県庁の取り組みが含まれています。地図からは、庁内RAG・文書検索AIは「特定の地域だけの流行」ではなく、 さまざまな自治体が試しているテーマとして確認できます。
一方で、地域の広がりは入口にすぎません。導入地域が分かっても、庁内のどの部署が使っているのか、 どの仕事で文書検索が必要になっているのかまでは分かりません。そこで、この章では地図のあとに、 部署別と業務ジャンル別に分け、職員の仕事に近い単位で確認します。
調べた事例マップ
まず、公開資料で内容を確認できる取り組みを地域ごとに並べました。この地図で示しているのは、 どの地域の導入数が多いかではなく、政令市、中核市、一般市、県庁のように、 規模や役割の違う自治体で庁内RAG・文書検索AIが試されていることです。
地図からは、庁内RAG・文書検索AIは特定の地域だけの話ではないことを確認できます。一方で、 地域が分かるだけでは「自分の部署でどう使えるか」までは判断できません。 そのため、このあと部署別・業務別に分けて、職員の仕事に近い単位で使われ方を示します。

部署と業務で、準備する文書と確認責任が変わる
地域の分布からは、庁内RAG・文書検索AIは一部の自治体だけの試みではないことを確認できます。 ただ、導入地域だけでは職員の仕事に置き換えられません。ここから先は、導入地域ではなく、庁内の仕事に目を移します。 この領域は、情報政策課だけが使う道具ではありません。会計、契約、議会、福祉、食品衛生、文書管理のように、 それぞれの原課が持っている文書と結びついて初めて役に立ちます。
同じ導入内容でも、部署軸で整理するか、業務軸で整理するかで論点が変わります。部署別では導入や運用に関わる組織を、 業務ジャンル別では職員の仕事で起きる場面を扱います。公開事例で確認できた領域は濃く、まだ少ない領域は控えめにしています。 たとえば同じ「文書検索」でも、情報政策課が環境を整える話と、会計担当が規則やマニュアルの該当箇所を確認する話では、準備する文書も確認責任も変わります。
住民が直接使う窓口・申請・案内の領域。庁内RAG・文書検索AIの公開事例では中心ではないため、全体として薄く表示します。
- 住民問い合わせの受付・回答
- 市民相談・広聴対応
- 来庁予約・窓口受付
- ホームページ・SNSの運用
- 外国人住民への多言語対応
- 防災・生活情報の発信
- 住民異動・住民基本台帳の管理
- 戸籍・戸籍附票の届出・証明
- 証明書の交付
- 地方税の申告・賦課
- 課税証明・納税通知の発行
- 口座・収納・滞納管理
- 国民健康保険の資格・給付
- 国民年金の届出・相談
- 医療費助成の受付・審査
- 児童手当の受付・管理
- 保育所の入所選考
- 要支援児童の把握・相談対応
- 障害福祉サービスの申請・決定
- 生活保護の相談・ケース管理
- 福祉相談・生活困窮支援
- 介護保険の資格・認定・給付管理
- ケアプラン作成支援
- 介護予防対象者の把握
- 特定健診・がん検診の実施管理
- 予防接種・母子保健の管理
- 感染症・保健指導の対応
- ごみ分別案内・問い合わせ対応
- 粗大ごみ・収集申込の受付
- 生活衛生の管理
- 就学・学籍の管理
- 児童生徒の状況把握
- 図書館・生涯学習施設の運営
- 観光案内・多言語発信
- 文化施設の管理
- 移住相談・定住支援
- 地域公共交通の運行支援
- デマンド交通の受付
- 交通安全施策の運用
- 公共施設の予約・利用管理
- 地域団体との連絡
- 協働事業の支援
公開事例で中心になっている領域。職員が庁内文書、規程、過去資料、議会資料を探し、原文を確認します。
- 条例・規則・公告式の管理
- 文書・公印・情報公開の事務
- 秘書・庁内庶務の管理
- 総合計画・政策立案
- 行政改革・BPRの推進
- 庁内横断プロジェクト管理
- 庁内問い合わせの対応
- 庁内文書の検索・共有
- ナレッジ・FAQの整備
- 職員研修・人材育成
- 勤怠・休暇・庶務申請管理
- 給与計算・年末調整
- 予算編成・執行管理
- 契約・発注・入札手続き
- 会計規則・旅費制度の確認
- SaaS・クラウドの導入評価
- 情報セキュリティ対策
- 基幹系システムの標準化・移行
- 宛名・住登外者情報の管理
- 申請管理・基幹連携
- 給付金・通知送付物の管理
- 庁内文書作成・調査支援
- 業務フロー・窓口後方事務の見直し
- 庁内業務アプリの作成・改善
- 議会運営・会議録作成
- 議案・答弁資料の作成支援
- 選挙人名簿の管理
- 災害情報の収集・被害把握
- 地域防災計画の管理
- 消防・救急業務の管理
- 道路台帳・占用・工事管理
- 建築指導・開発許可
- 公営住宅・空き家の管理
- 水道管路の点検・更新計画
- 料金・収納
- 公営企業会計の管理
- 清掃・収集業務の管理
- 粗大ごみ・浄化槽の管理
- 脱炭素・環境施策の運用
- 農林水産業の補助・管理
- 商工業・中小企業相談
- 事業者ポータルの運用
部署と業務を分けると、庁内RAG・文書検索AIで扱う文書が一様ではないことも確認できます。 会計・契約では手引書や契約事務の判断、議会では過去答弁や会議録、福祉・相談では応対基準や過去対応、 食品衛生では法令通知や過去事案を確認します。文書の種類が違えば、更新する部署も、原文確認を担う人も変わります。
ここまでの分類から分かるのは、庁内RAGを「チャット画面で質問すると答えてくれるもの」とだけ理解すると、 実務上の論点がかなり抜け落ちるということです。 この分類で分けるべきなのは、どの仕事で、どの文書を使い、誰が最後に内容を確認するのかです。 まずは、公開事例で確認できた主な使われ方を確認します。
使われ方のサマリー
庁内RAG・文書検索AIは、職員の仕事に置き換えると姿がはっきりします。共有フォルダから過去資料を探す。 契約・会計・庶務のマニュアルや規則を確認する。議会答弁の根拠をそろえる。専門部署で過去事案や通知を確認する。 異動直後の引継ぎ資料を探す。問い合わせ記録をFAQと根拠資料に結び直す。画面上は同じ検索でも、必要な文書と確認する部署はそれぞれ違います。
ここでは、主な使われ方を職員の一日の動きとしてもう少し具体化します。第2章では、この分類を業務ごとに分解し、 文書、確認者、根拠の扱いまで分けて示します。
マンガで事例を知る
気になる場面を選ぶ
課や係の共有フォルダから過去資料を探す

対象文書の種類
庁内RAG・文書検索AIで扱う文書は、部署や業務によってかなり違います。 文書名を並べるだけでは、導入前に準備すべきものが見えません。 総務・法務・庶務の規程、財政・会計・契約の手引書、 議会の過去答弁、道路・建築の台帳や過去判断では、検索対象も確認方法も変わります。
職員が知りたいのは、「マニュアルを入れます」という説明だけでは足りません。 その文書には何が書かれているのか。画像や表、台帳、過去回答はどう扱うのか。 FAQを先に整えるのか、問い合わせログから作るのか。 この章では、まず業務分類ごとに、文書の種類、書かれている内容、利用方法をそろえて示します。
- 規程や手引書は、更新日と所管部署を一緒に見ないと古い回答に寄りやすい。
- 会議録や過去答弁は、要約だけでなく原文の該当箇所を確認できることが大事になる。
- 台帳、Excel、画像PDF、電話録音は、そのまま本文検索できない場合がある。
まずは、庁内・行政運営業務の中で確認できた主な分類を並べます。 住民向けの窓口対応ではなく、職員が庁内で文書や記録を確認する場面として整理すると、対象文書の違いがはっきりします。
条例・規則、内部通知、文書管理ルール
例規、公告式、文書管理、公印、情報公開、庁内庶務の手順。いつの規程を根拠にするか、所管はどこか、改定前の扱いはどうするかが書かれている。
問い合わせを受けた職員が、担当部署へ確認する前に根拠文書を確認する。規程改定後の古い資料を拾わないよう、更新日や所管部署も一緒に見る。
総合計画、個別計画、政策資料、行政改革資料
計画本文、施策の背景、過去の検討資料、市長あいさつ、庁内横断プロジェクトの資料。以前どう説明したか、どの計画に書かれているかが残っている。
企画立案や説明資料作成で、過去の表現や計画本文を確認する。文書検索だけでなく、該当箇所を開いて表現を合わせる使い方になる。
庁内FAQ、問い合わせ記録、過去回答、共有フォルダ資料
職員から何度も聞かれる質問、過去に返した回答、職員向けページ、共有フォルダ内のOffice文書やPDF。誰が何を聞き、どの資料を根拠に答えたかが残る。
庁内問い合わせの一次対応、ヘルプデスク、異動直後の確認で使う。FAQを先に作るだけでなく、問い合わせログから質問例を増やす運用にもつながる。
契約事務テキスト、会計規則、旅費制度資料、補助金要綱
契約、発注、入札、予算執行、支出、旅費、備品、補助金の手順。どの様式を使うか、例外時にどの条文や手引書を見ればよいかが書かれている。
原課の職員が会計・契約担当へ聞く前に、手引書の該当箇所を探す。回答文をそのまま採用するより、該当ページを開いて処理の根拠を確認する使い方が中心になる。
導入評価資料、セキュリティ手順、権限・基盤資料
SaaS・クラウドの導入評価、LGWAN、三層分離、職員ID、所属グループ、権限設定、標準化・移行に関する資料。どこから使えるか、誰が何を見てよいかを決める材料になる。
庁内RAGを広げる前に、検索対象と権限を分ける。全職員に同じ結果を見せるのではなく、所属や業務に応じて参照範囲を変える設計で使う。
業務マニュアル、調査回答、文書作成テンプレート、業務フロー
庁内調査、照会回答、業務手順、申請・審査の流れ、文書作成時に使うひな形。作業の順番、入力項目、確認者、例外時の扱いが書かれている。
業務アプリ作成や文書作成支援の前段で、職員がどの手順を参照しているかを整理する。RAGは手順を実行する道具ではなく、まず手順や根拠を確認する入口として使う。
議会会議録、過去答弁、議案資料、選挙事務資料
会議録、答弁案、議案説明資料、委員会資料、過去の質問、選挙人名簿や選挙事務の運用資料。過去にどう答えたか、原文ではどう書かれているかを確認する。
議会前の答弁準備や、過去発言との整合確認で使う。要約だけで済ませず、会議録や議案資料の該当箇所まで確認する。
道路台帳、占用資料、建築指導記録、開発許可資料
道路、公園、建築、開発許可、公営住宅、空き家に関する台帳、申請資料、過去判断、所管資料。位置、物件、許可条件、過去の扱いが文書や台帳に分かれて残る。
専門部署の職員が、似た事案や過去の判断を探す。全文検索だけでは足りないため、文書名、場所、年度、所管の手がかりをどう持たせるかが論点になる。
文書の種類が分かってくると、「うちのマニュアルはスキャンPDFで、Excelの一覧表も多い」という現実がすぐ頭に浮かびます。 画像の中に書かれた文字、表の行列、電話録音、業務システム内のデータは、Word文書やテキストPDFと同じ扱いにはできません。 そのため、後半では、FAQや質問例をどう用意するのか、業務ごとの根拠文書をどう選ぶのか、 文書をAIが検索できる形にどう整えるのか、参照元や権限をどうそろえるのかを分けて説明します。
庁内RAGの基本
次に、庁内RAGを「チャットで答えてくれるAI」ではなく、文書を探し、根拠を渡し、回答案を作る一連の仕組みとして説明します。 RAG(既存文書を検索し、その文書にもとづいて回答案を作る仕組み)は、職員が入力する質問欄だけでは判断できません。 裏側では、文書の取り込み、検索用の索引づくり、職員の権限確認、LLMへの根拠文書の受け渡し、参照元の表示が組み合わさっています。
ここでは、最初に「業務で確認する3つの基本」を分け、そのあとに「技術構成としてどの処理が動くのか」を説明します。 3つの基本だけでは、なぜ文書整備や権限が品質に効くのかが見えにくくなります。 技術構成だけでは、誰が原文を確認するのか、どの文書を見せてよいのかが抜け落ちます。
①まず、3つの基本を分ける
庁内RAGを業務側から整理すると、まず確認したい点は3つに絞れます。 先に庁内文書を探すこと、職員が見てよい文書だけを使うこと、回答案から原文を確認できることです。 この3点を、以下の図にまとめました。

この3つがそろっていないと、回答文が自然でも、業務上の判断には使いづらくなります。 たとえば、AIが自然な文面で説明しても、根拠が改定前の手引書なら担当課は使えません。 部署限定資料が関係のない職員に出てしまうなら、検索対象を広げるほど運用上の懸念が増えます。
また、参照元が文書名だけで、該当ページや更新日まで確認できない場合も、職員は結局もう一度探し直すことになります。 庁内RAGは「答えを出す道具」ではなく、職員が根拠にたどり着く時間を短くする仕組みとして位置づけるほうが、 自治体の現場では検討しやすくなります。
②次に、技術構成を分ける
技術構成では、庁内RAGは「事前準備」と「利用時」に分かれます。 事前準備では、PDF、Word、議事録などを取り込み、必要に応じてOCRやテキスト抽出を行い、 文書を小さな単位に分けて検索できる状態にします。利用時には、職員の質問から関連する文書を探し、 その根拠をLLMに渡して回答案を作ります。この流れを以下の図で示しました。

ここで押さえたいのは、LLMが庁内文書を丸ごと覚えているわけではない点です。 多くのRAG構成では、文書を検索しやすい単位に分け、検索インデックスに登録しておきます。 職員が質問すると、質問文に近い文書片やキーワードに合う文書を探し、職員IDや所属で見てよい範囲に絞り込みます。
そのうえで、検索された根拠文書をプロンプトに入れ、LLMが回答案を生成します。 つまり、回答案の品質はモデルだけでは決まりません。どの文書を取り込むか、OCRで文字が正しく取れているか、 文書をどう分割するか、検索結果をどう絞るか、参照元をどこまで返すかによって変わります。 原課(業務担当部署)が文書名、更新日、該当箇所を開いて確認できる状態になってはじめて、 議会準備、庁内問い合わせ、引継ぎのような仕事に使いやすくなります。
第2章
部署・業務ごとの具体例
部署ごとの課題と解決方法を整理する第1章では、地域の広がり、部署・業務の全体像、主な使われ方、対象文書をまとめて見ました。 第2章では、実際の仕事でどう使うのかを業務場面ごとに説明します。同じ庁内RAG・文書検索AIでも、 全庁文書検索、契約・会計・庶務、議会答弁、専門行政、異動・引継ぎ、庁内問い合わせ対応では、扱う文書も確認する人も違います。
まず、6つの使い方を俯瞰します。全庁文書検索、契約・会計・庶務、議会答弁、専門行政、異動・引継ぎ、庁内問い合わせ対応は別々の業務ですが、 共通しているのは、職員の質問を文書検索につなぎ、最後に原文を確認することです。以下の図でまとめています。

図では、庁内RAG・文書検索AIは「チャットで答える仕組み」というより、 職員が仕事に必要な文書を探し、内容を確認するための入口であることを示しています。 ただし、使う部署や業務が変われば、検索対象、権限、原課確認、最後に使う成果物も変わります。
この章では、各業務について「どんな場面で使うのか」「何が課題なのか」「AI検索やRAGでどう変えるのか」をそろえます。 先に導入事例で確認できた場面、文書、数字、運用上の注意点を説明し、そのうえで具体的なユースケースと図解を置きます。
自分の自治体に近い業務場面を起点にすると、その業務が扱う文書と、原文確認を担う人を整理しやすくなります。 製品名の比較に入る前に、どの業務で何を探せるようにしたいのかをそろえる方が、議論が進めやすくなります。
2-1原文を探す
全庁文書検索での使い方
文書名や保存場所が分からない原文へたどり着くこの場面で職員が困るのは、「必要な文書があるはず」なのに、文書名や保存場所が分からないことです。共有フォルダ、ファイルサーバ、NAS、職員ポータルに資料が分かれ、ファイル名検索では文書の中身にある言葉まで届きません。
神戸市の食品衛生課では、飲食店営業の許認可事務で過去の類似事案、参考事例、法令通知、疑義解釈を探していました。従来は経験豊富な職員に聞いた方が早い場面もありましたが、全文検索と横断検索によって資料検索時間が86.6%削減されています。京都市ではファイルサーバと職員向けポータル、秋田県ではファイルサーバ、Webサーバ、NAS、橿原市では約10TB・約1,500万ファイルが検索対象になっています。
ここで使われているのは、回答案を作るRAGというより、文書の中身まで探す全文検索・横断検索です。職員の仕事で変わるのは、文書名を知っている人を探す時間です。検索結果から原文、更新日、所管課、見てよい範囲を確認できれば、住民対応、議会説明資料、過去事案の確認に必要な資料へ早く届きます。
具体的なユースケース
- ファイルサーバ、NAS、職員ポータルに分かれた文書を横断して探す
- ファイル名ではなく、本文に含まれる言葉で探す
- 過去の類似事案、法令通知、疑義解釈を確認する
- 原文、更新日、所管課、閲覧権限を最後に確認する
以下の図で、分かれた文書置き場から原文確認までの流れを整理しました。

全庁文書検索は、RAGの回答案よりも先に、原文へ届く検索基盤として位置づけると整理できます。効果の数字は、対象にした文書置き場と、ファイル名検索から全文検索へ何を変えたのかを一緒に示すことで意味が具体化します。
2-2根拠を確認する
契約・会計・庶務での使い方
担当部署へ聞く前に、見る資料と確認点を絞る契約・会計・庶務では、職員がすぐに知りたいのは「この処理で、どの規則や手引書を見るか」です。年度初めや異動直後は、伝票処理、契約手続き、福利厚生、庶務申請の確認が担当部署へ集まりやすくなります。
横須賀市の契約締結業務では、数多くのマニュアルや規則の中から対象のものを選び、目的の箇所を探すことが課題になっていました。熊本市では、契約事務、会計事務、人事、福利厚生など14業務へ広がり、システム関係の契約で原課から回ってくる実施伺い文を、登録したマニュアルに沿ってチェックする使い方が出ています。いわき市では、伝票処理、PC操作、就業規則など月1,000件以上の質問が電話やメールで寄せられていました。
ここでRAGが担うのは、契約や会計の判断を確定することではありません。職員が質問したときに、関係する規則、マニュアル、FAQ、手続き文書を示し、担当部署へ聞く前の確認点を絞る役割です。茨城県のように、回答と根拠資料URLを表示し、原課が正しい回答と根拠資料をひも付ける運用もあわせて確認します。
具体的なユースケース
- 契約締結業務で、マニュアルや規則の対象箇所を探す
- 契約事務、会計事務、人事、福利厚生の質問に答える
- 実施伺い文や起案文の必要項目の抜け漏れを確認する
- 伝票処理、就業規則、契約手続きなどの問い合わせを減らす
以下の図で、職員の質問から該当箇所と相談前の確認点へ絞る流れを整理しました。

契約・会計・庶務では、資料へ早く届くことと、間違った回答を直す運用をセットで確認します。担当部署の判断をAIへ移すのではなく、相談前の下調べを軽くする使い方として位置づける方が実務に近くなります。
2-3根拠を確認する
議会答弁・議会事務での使い方
過去答弁・議事録・計画を並べ、答弁案の材料にする議会対応では、文章を書く前に、過去に同じ質問があったか、どの答弁や計画でどう説明していたかを探します。過去発言と現在方針がずれると説明責任に直結するため、下書き前の根拠確認が重くなります。
日進市では、各部署の議会対応担当38人のうち22人が議会対応の準備に利用し、過去答弁の検索と叩き台生成が中心でした。利用した職員の96%が効率向上、91%が時間短縮と回答しています。取手市では、議会だよりで発言記録を読み、質疑の核心部を抜き出して構成する作業があり、議会だよりで80%以上、答弁書で50%以上の効率化が示されています。
RAGを使う場合も、AIが答弁を完成させると書くのは違います。議事録原文、過去答弁、計画、担当課確認を並べ、最後は職員が現在の方針に合う表現へ直すものとして扱います。議会だよりでも、AI要約と議事録原文を見比べながら編集できる設計になっているかを確認します。
具体的なユースケース
- 過去答弁を検索し、表現や説明の整合性を確認する
- 議事録、計画、過去資料を参照して答弁案の材料を集める
- 議会だよりで、発言記録から要点を抜き出す
- AI要約と議事録原文を並べて確認する
以下の図で、議会質問から説明の根拠をそろえ、職員が仕上げるまでを整理しました。

議会分野では、根拠を探す部分と人が仕上げる部分を分けて確認します。効率化の数字だけでなく、何を根拠にし、どこで職員が直しているかまで示して初めて、数字の意味が崩れにくくなります。
2-4判断前に照合する
専門行政の根拠確認での使い方
過去事案や通知を探し、現行制度と個別事情に照らす専門行政では、似た質問でも個別事情や制度改正によって確認先が変わります。過去事案が見つかっても、そのまま答えに使えるとは限りません。職員は、現行通知、制度改正、個別事情、個人情報の扱いを照合してから判断します。
熊本市では、児童相談所と生活保護で利用を始め、住民応対の中で使う実務マニュアル、過去の応対履歴、法で定められた応対基準を検索し、対応基準を見ながら住民応対をしていました。神戸市の食品衛生課では、飲食店営業の許認可で、過去類似事案、参考事例、法令通知、疑義解釈を探しています。茨城県では、財務会計、高圧ガス、人事労務のように、業務初任者がつまずきやすい分野を設定しています。
この領域でAI検索やRAGが変えるのは、専門判断そのものではなく、判断前に見る資料へ早く届くことです。過去事案、法令通知、対応基準、実務マニュアルを早く見つけたうえで、現在の制度と個別事情に合うかを職員が確認します。
具体的なユースケース
- 児童相談所や生活保護で、実務マニュアルや対応基準を確認する
- 食品衛生で、飲食店営業の許認可に関する過去類似事案や法令通知を探す
- 高圧ガスなど、業務初任者がつまずきやすい専門分野で根拠資料を探す
- 法制課で、過去の判例や判断材料を検索する
以下の図で、AI検索で見つける範囲と、職員が照合する範囲の境界を整理しました。

専門行政で使う場合は、対象文書を広げるほど慎重さも増します。RAGの便利さは、判断の自動化ではなく、職員が根拠資料や過去事案へ早く届き、現在の制度に合うかを確認しやすくなる点に置くのが実務に近いです。
2-5着任直後の確認
異動・引継ぎでの使い方
新任職員が、確認順と聞く相手を見つける異動直後の職員は、着任してすぐに住民や事業者への対応が始まります。資料は大量にあるのに、最初にどれを確認すればよいか、次にどの過去回答を見るか、最後に誰へ確認するかが分からないことが負担です。
群馬県の事例では、県庁職員が2〜3年という短い周期で異動し、異動してきた職員は前任者の残した膨大なマニュアルを参照しながら、早く業務を覚える必要がありました。各部署で引継ぎ資料や業務マニュアルを検索・参照できるようにし、新任職員が「こういう場合はどうすればいい?」と質問したときに、資料のどこに答えがあるのか、何をすべきなのかを把握できるようにしています。熊本市でも、過去所属の業務について今も問い合わせを受けるという背景があり、当時の資料やマニュアルを検索できることが引継ぎ負担の軽減につながると見ています。
異動・引継ぎで職員が必要とするのは、AIに業務判断を代わってもらうことではありません。最初に確認する資料、次に確認する手順、最後に聞く相手を早く見つけることです。金沢市のように、異動のたびに部署限定RAGの権限付け替えが発生しない設計にできるかも、同じ文脈で確認します。
具体的なユースケース
- 新任職員が、引継ぎ資料や業務マニュアルから最初に確認する資料を探す
- 前任者に聞く前に、過去回答や手順を確認する
- 異動で担当者が変わっても、過去の資料と回答を探せるようにする
- 異動後に見てよい文書の権限を整理する
以下の図で、新任職員が着任直後にたどる確認ルートを整理しました。

引継ぎで使う場合は、文書検索の精度だけでなく、異動時の権限更新も論点になります。新任職員に見せるべき資料と、部署限定に残す資料を分けておくことが欠かせません。
2-6記録を整える
庁内問い合わせ対応での使い方
電話・メールの問い合わせを、FAQと根拠資料へ結び直す庁内問い合わせでは、同じ質問が電話やメールで繰り返し寄せられます。質問が口頭やメールのまま残ると、次に同じ問い合わせが来ても、また担当者が一から説明することになります。
いわき市では、伝票処理、PC操作、就業規則など月1,000件以上の質問が寄せられ、FAQ登録の工数や検索性の低さから従来のFAQシステムが十分に活用されない課題がありました。横須賀市の会計課では、庁舎内からの問い合わせ対応にある暗黙知を可視化するため、通話録音データをテキストに起こし、問い合わせ時の言い回し、質問や回答の切り分けをナレッジデータとして蓄積しました。通話録音1,427件のうち有効録音870件から、499件のナレッジ、156件の高頻度利用ナレッジを作成し、一部を職員向けチャットボットへ取り込んでいます。
この使い方では、問い合わせ内容をそのままRAGへ入れるわけではありません。文字起こし、分類、重複整理、個人情報の確認、FAQ化、根拠資料へのリンク付けを挟み、次の職員が使える形に整えることが主な作業です。金沢市のように、FAQ文書やマニュアル、手順書をRAGに格納し、申請フォームやグループウェアへのリンクへつなげる使い方もあります。
具体的なユースケース
- 電話やメールで来る問い合わせを減らす
- 会計課の電話応対から、よくある質問と回答を整理する
- 高頻度の問い合わせをFAQへ取り込む
- 誤回答や未回答を、正しい回答と根拠資料にひも付ける
以下の図で、問い合わせ記録をFAQと根拠資料へ結び直す循環を整理しました。

問い合わせ対応の論点は、質問を減らすことだけではありません。よくある質問をどの文書に結び直し、誰が正しい回答へ直すかまで含めて設計します。ログをためるだけで終わらせず、未回答や誤回答を資料改善に反映する運用まで確認します。
第3章
導入して出た具体的な効果
職員の仕事で何が変わったか導入効果は、「生成AIで何時間減った」と一括りにすると、かえって見えにくくなります。 神戸市の検索時間、静岡県の交付金確認、日進市や取手市の議会準備、いわき市の問い合わせ削減、横須賀市の電話応対ナレッジ化では、 同じ庁内RAG・文書検索AIでも、軽くなっている負担の場所が違います。
この章で分けるのは、数字の大きさそのものではありません。どの仕事で、どの文書や記録を使い、 最後に職員が何を確認できるようになったのかです。その違いを示すために、効果を5つに分けました。

庁内RAGの効果は、文書探し、業務確認、議会準備、問い合わせ対応、異動後の立ち上がりで出方が変わります。 数字の大小だけで比べるより、どの仕事のどの負担が軽くなったのかを見た方が庁内で説明しやすくなります。ここでは、導入後に出ている効果を次の5つに置き直します。
- 文書探索大量の共有フォルダ、過去資料、法令通知から、必要な原文を早く見つけられるようにする。
- 業務確認・文書作成補助金、契約、会計、電子申請で、要綱やマニュアルを確認しながら作業できるようにする。
- 議会準備過去答弁、議事録、計画本文を並べ、答弁案や議会だよりの材料を集めやすくする。
- 問い合わせ削減・ナレッジ化FAQや根拠資料で自己解決しやすくし、来た問い合わせは次の回答に使える知識として残す。
- 異動・引継ぎ引継ぎ資料や業務マニュアルから、新任職員が最初に確認する資料へ進みやすくする。
文書探しの時間が短くなる
文書探しの効果は、検索窓が増えたことではなく、文書名や保存場所を知らなくても、 出典元と原文を確認できることにあります。以下の図では、探す相手や保管場所をたどる状態から、 質問を入口にして候補文書と根拠へ進む状態への変化をまとめています。

- 対象過去の類似事案、法令通知、疑義解釈、共有フォルダ内の文書。
- 効果文書名や保存場所を知っている人を探す時間が減る。
- 確認したい点何件の文書を検索対象にしたのか、原文へどれだけ早く届いたのか。
神戸市では、食品衛生分野で過去の類似事案、参考事例、法令通知、疑義解釈などを探す必要がありました。 紙資料のデジタル化や組織改正で検索範囲が広がり、関連情報は150万点以上に増えています。 そこに検索システムを入れた結果、利用職員へのアンケートで資料検索時間の削減率は86.6%となり、 1時間かかっていた検索が約8分になった計算です。
橿原市では、約10TB・約1500万ファイルを対象に全文検索できるようにし、 1回の検索で約5分の短縮につながりました。予算決算審査の説明資料づくりでは、ファイルの保管場所を知っている職員を探すところから始まることもありましたが、 必要な文書へ直接届きやすくなり、資料作成期間も1〜2週間から3〜4日ほどに短くなっています。
補助金・契約・会計の確認が早くなる
補助金、契約、会計の効果は、整った回答文を作ることよりも、確認先を早く絞れることに出ます。 以下の図では、要綱やマニュアルを根拠資料としてそろえ、対象条件、必要書類、期限、起案文の抜け漏れを 職員が確認しやすくなる流れをまとめています。

- 対象交付金の要綱、想定質問、電子申請マニュアル、契約・会計・庶務の実務マニュアル。
- 効果確認先を探す時間や、起案文・実施伺い文の抜け漏れ確認が軽くなる。
- 確認したい点回答を作るだけでなく、根拠資料に沿って確認できる状態になっているか。
静岡県では、交付金の要綱、想定質問、他県事例、1000ページを超える電子申請マニュアルなどをRAGに入れています。 試験導入時の削減時間は、220人が20営業日使った計算で月間約360時間です。 交付金の適合確認では、これまで30分ほど調べていた確認が5分程度になったと説明されています。
熊本市では、児童相談所と生活保護の実務マニュアルから始め、契約事務、会計事務、人事、福利厚生など14業務へ広げています。 ここでの論点は、単に回答を作ることではありません。システム関係の契約で原課から回ってくる実施伺い文を、 事前に登録したマニュアルに沿って確認し、必要項目の抜け漏れや間違いを早く見つける使い方も出ています。
議会準備で、過去答弁と原文を並べやすくなる
議会準備では、AIが答弁を完成させるというより、過去答弁、議事録、計画本文を並べて、 職員が表現と根拠を直せる状態にすることが効いています。以下の図では、材料集めから下書き、 原文確認をしながら職員が仕上げるまでをまとめています。

- 対象過去答弁、議事録、市の各種計画、他自治体事例、議会だよりの原文。
- 効果過去の説明と現在の方針を見比べながら、答弁案の材料を集めやすくなる。
- 確認したい点AIの下書きをそのまま使うのではなく、職員が原文と表現を直せる設計か。
日進市では、議会対応担当38人にアカウントを配布し、22人が議会対応の準備に利用しました。 主な使い方は、過去答弁の検索と、答弁案のたたき台作成です。利用職員へのアンケートでは、 96%が仕事の効率向上、91%が時間短縮と回答しています。
取手市では、議会だよりと答弁書作成支援で効果が出ています。議会だよりでは、議事録原文とAI要約を並べて編集できるようにし、 答弁書では市の各種計画、過去の議事録、他自治体の事例などを情報源にしました。 議会だよりは80%以上、答弁書作成支援は50%以上の効率化という反応がありました。
西海市の事例では、生成AIの回答を左側に表示し、右側で職員が編集しながら答弁を作る画面が用意されています。 RAGで候補を出して終わりではなく、職員が表現や根拠を直す余地を残している点を、議会準備では確認します。
問い合わせを減らし、次の回答にも使える知識として残す
問い合わせ削減は、電話やメールをただ記録する話ではありません。聞く前に自己解決できる入口を作ることと、 実際に来た問い合わせを次の回答に使える形へ整えると、何が業務上の効果なのかを説明しやすくなります。 以下の図では、その2つの動きを一枚でまとめています。

- 対象伝票処理、PC操作、就業規則、会計課の電話応対、FAQ、マニュアル、手順書。
- 効果担当部署へ電話やメールを送る前に、職員が自己解決しやすくなる。
- 確認したい点聞かれる前に解決させる仕組みと、来た問い合わせを次に使う仕組みを分ける。
問い合わせ対応の効果は、「問い合わせ内容を保存する」だけではありません。職員が担当部署へ電話やメールを送る前に、 FAQ、マニュアル、手順書、根拠資料で自己解決できる状態を作ることがまず大きい効果です。いわき市では、 伝票処理、PC操作、就業規則などの質問が月1000件以上、電話やメールで寄せられていました。FAQシステムでは登録工数や検索性が課題になっていましたが、 資料登録型のRAGへ置き換えることで、職員の自己解決が進み、問い合わせ件数と担当者負担の軽減につながっています。
金沢市では、問い合わせを減らす設計が具体的に示されています。デジタル政策課には、システム保守、DX推進、デジタル人材育成などに関する問い合わせが多く、 忙しい時期には電話がつながりにくくなることもありました。そこで、FAQ文書、各種マニュアル、手順書をRAGへ格納し、 回答リンクから申請フォームやグループウェア上のページへ直接進めるようにしています。単に答えを返すだけでなく、 次の手続きまで迷わせない導線を作っている点まで扱います。
横須賀市の会計課の実証では、庁内問い合わせ電話の録音データを文字起こしし、問い合わせ内容と職員の判断ポイントをナレッジ化しました。 総録音1427件のうち、ナレッジ作成に有効な録音は870件で、そこから499件のナレッジを作成しています。 そのうち156件は問い合わせの多い高頻度利用ナレッジです。いわき市や金沢市が「聞かれる前に自己解決させる」方向だとすると、 横須賀市は「実際に来た問い合わせを次の自己解決につなげる」方向です。
三条市では、5種類の移住補助金制度の要綱からFAQリストを作り、RAGを組み込んだ職員向けチャットボットを構築しました。 FAQリストは85%以上がそのまま業務で活用可能と評価され、応答内容、操作性、実用性はいずれも4.8/5.0でした。 対象業務を絞ると、回答品質や満足度を確認しやすくなります。藤沢市の道路管理課のように、電話問い合わせを要約し、 どの担当で対応するかを回答する使い方もあります。ここでは問い合わせそのものをゼロにするより、担当の切り分けや初動対応の迷いを減らす効果として捉える方が実態に近いです。
異動後の立ち上がりを助ける
異動後の効果は、経験者の判断をAIに置き換えることではなく、新任職員が最初に確認する資料、 次に確認する対応内容、最後に見る原文へ進みやすくなることです。以下の図では、引継ぎ資料や応対履歴を 知識の置き場にして、着任直後の迷いを減らす流れをまとめています。

- 対象引継ぎ資料、業務マニュアル、過去の応対履歴、応対基準、専門資料。
- 効果新任職員が、最初に確認する資料や対応内容へ進みやすくなる。
- 確認したい点削減時間だけでなく、ベテラン職員に集まりやすい知識を探せる形にできているか。
群馬県では、各部署で引継ぎ資料や業務マニュアルを検索対象にしたRAGを用意し、 新任職員が質問から必要な資料や対応内容へ進めるようにしています。 利用者の86%が業務改善を実感し、平均で約3割の業務時間削減という結果も出ています。
熊本市の事例でも、過去の応対履歴や法で定められた応対基準、マニュアルを検索対象にすることで、 異動後も相談できる知識の置き場にする発想が語られています。明確な削減時間が出ていなくても、 ベテラン職員に集まりやすい知識を、次の担当者が探せる形にすること自体が効果として扱えます。
使い方ごとの具体的な効果事例
ここでは、全庁検索、業務別RAG、議会準備、問い合わせ対応、引継ぎ支援のように、 使い方ごとに確認できた効果事例を並べます。何を対象にした数字なのか、 どの文書や記録を使ったのか、実績なのか試算なのかまでそろえると、 庁内で説明するときに、自分たちの業務に近い事例を選びやすくなります。
| 効果の型 | 自治体 | 具体例 | 数字・条件 |
|---|---|---|---|
| 文書探索 | 神戸市 | 食品衛生分野で、過去の類似事案、参考事例、法令通知、疑義解釈など150万点超の情報を検索対象にした。 | 利用職員へのアンケートで検索時間を86.6%削減。1時間かかっていた検索が約8分になった計算。 |
| 文書探索 | 橿原市 | 基幹系・情報系のファイルサーバなど、約10TB・約1500万ファイルを全文検索の対象にした。 | 1件あたり約5分短縮。予算決算審査の資料作成は1〜2週間から3〜4日ほどに短縮。 |
| 文書探索 | 秋田県 | 庁内の文書保存領域、職員向けページ、各課の保存領域に分かれた資料を探せるようにした。 | 30分かかっていた検索が10秒程度で済む場面が出た。 |
| 業務確認・文書作成 | 静岡県 | 交付金の要綱、想定質問、他県事例、1000ページ超の電子申請マニュアルなどをRAGに入れた。 | 試験導入時、220人・20営業日の計算で月間約360時間削減。交付金の適合確認は30分程度から5分程度に短縮。 |
| 業務確認・文書作成 | 郡山市 | 各種計画、庶務担当者マニュアル、市長あいさつ文、市議会定例会会議録など115ファイルを搭載した。 | 10月に143人が利用し、文章要約や原稿執筆などで289.2時間の削減効果を自動分析機能で算出。 |
| 業務確認・文書作成 | 熊本市 | 児童相談所、生活保護から始め、契約事務、会計事務、人事、福利厚生など14業務へ広げた。 | 実証中で明確な削減時間は未公表。起案文をマニュアルに沿って確認するなど、確認作業の効率化が語られている。 |
| 議会準備 | 四街道市 | RAG機能に議会定例会の会議録、契約事務・文書事務の手引書などを登録した。 | 全体の活用では、内部アンケートで95%が業務改善効果を感じ、月約350時間の負担軽減と整理されている。 |
| 議会準備 | 日進市 | 議会対応担当38人にアカウントを配布し、22人が過去答弁の検索と答弁案のたたき台作成に使った。 | 利用職員の96%が効率向上、91%が時間短縮と回答。部署単位では2時間短縮、1時間短縮の回答もあった。 |
| 議会準備 | 西海市 | 議会答弁向けモデルで、過去の議事録や公開情報を参照した回答案を生成し、職員が編集できる画面にした。 | 複数モデルの合算で年間2072時間、一人1日あたり12分ほどの削減効果。議会答弁の関係部署で高い効果が出た。 |
| 議会準備 | 取手市 | 議事録原文とAI要約を並べて議会だよりを編集し、答弁書では各種計画、過去議事録、他自治体事例などを情報源にした。 | 議会だよりは80%以上の業務効率化、答弁書作成支援は50%以上の効率化という反応があった。 |
| 問い合わせ削減・ナレッジ化 | いわき市 | 伝票処理、PC操作、就業規則などの庁内質問を、電話・メールではなく職員がAIで自己解決できる形にした。 | 導入前は月1000件以上の質問が電話やメールで寄せられていた。導入後は問い合わせ件数と担当者負担が軽減された。 |
| 問い合わせ削減・ナレッジ化 | 金沢市 | デジタル政策課に多く寄せられる問い合わせに対し、FAQ文書、マニュアル、手順書をRAGへ格納した。 | 繁忙期に電話がつながらないほど問い合わせが多かった課で、FAQ回答から申請フォームやグループウェアへ直接進める動線を作った。 |
| 問い合わせ削減・ナレッジ化 | 横須賀市 | 会計課の庁内問い合わせ電話を録音・文字起こしし、問い合わせ内容と職員の判断ポイントをナレッジ化した。 | 総録音1427件、有効録音870件から499件のナレッジを作成。うち156件は高頻度利用ナレッジで、一部をFAQ化した。 |
| 問い合わせ削減・ナレッジ化 | 三条市 | 5種類の移住補助金制度の要綱からFAQリストを作り、RAGを組み込んだ職員向けチャットボットを構築した。 | FAQリストは85%以上がそのまま業務活用可能。応答内容、操作性、実用性はいずれも4.8/5.0、機能検証で誤回答なし。 |
| 問い合わせ削減・ナレッジ化 | 藤沢市 | 道路・水路に関する電話問い合わせを要約し、どの担当で対応するかを回答するコンシェルジュを検証した。 | 正答率は厳密な測定値ではなく、担当者の実感として8割前後。経験豊富な職員でないと対応しにくい問い合わせは課題が残った。 |
| 異動・引継ぎ | 群馬県 | 各部署で引継ぎ資料や業務マニュアルを検索対象にしたRAGを用意し、新任職員が質問から必要資料へ進めるようにした。 | 利用者の86%が業務改善を実感し、平均で約3割の業務時間削減。引継ぎ業務の効率化が明示されている。 |
| 異動・引継ぎ | 熊本市 | 過去の応対履歴、法で定められた応対基準、マニュアルを検索対象にし、異動後も相談できる知識の置き場にしようとしている。 | 明確な削減時間は未公表。長く蓄積してきたナレッジを検索対象として使い、引継ぎ負担の軽減につなげる期待が語られている。 |
この表は、最大値を競うためのものではありません。庁内で話すときは、 「うちで減らしたいのは資料探しなのか、補助金や契約の確認なのか、議会準備なのか、問い合わせ対応なのか、異動後の立ち上がりなのか」を先にそろえると、 近い取り組みを探しやすくなります。導入後に測る数字も、検索時間、問い合わせ件数、議会準備時間、引継ぎの立ち上がりなど、 業務ごとに分けておく方が説明しやすくなります。
第4章
精度と効果を出すための工夫
自治体が実際にやった準備と運用第4章で扱う「精度」は、AIモデルの性能だけを指していません。職員が実際に聞く質問、根拠として使える文書、 回答から原文を確認できる設計、見てよい文書だけが出る権限、誤回答を直す運用がそろって、初めて業務で使える回答になります。 つまり、精度は製品だけで決まるものではなく、文書と運用の整え方で大きく変わります。
まず全体像として、事例に共通して出てきた工夫を5つに分けると、次の図のようになります。質問例は精度を測る物差し、 対象業務と根拠文書は確認責任の範囲、文書整備は検索の土台、参照元と権限は職員が安心して使うための条件、 原課と利用ログは、導入後に精度を積み上げる仕組みとして扱います。

この5つは、左上から順番に作業すれば終わるチェックリストではありません。庁内会議では、見積範囲を決めるときに 「どの業務の文書を対象にするか」を決めます。原課へ協力を依頼するときは「誰が根拠文書を確認するか」を決めます。 導入後の報告では「回答率、正答率、未回答、平均回答時間の短縮」など、改善材料にする数字を決めます。
この章では、精度と効果を出すための工夫を、次の5つに分けます。
- 質問例職員が聞きそうな問いを先に作り、正答、誤回答、未回答を測れる状態にする。
- 対象業務と根拠文書業務ごとに、どの文書を根拠にするのか、誰が確認するのかを決める。
- 文書整備OCR、Excelの表記揺れ、録音ログ、古い資料を分けて、AIが検索できる形に整える。
- 参照元と権限回答の根拠を確認できることと、見てよい文書だけが出ることを同時に設計する。
- 原課と利用ログ誤回答や未回答を、業務担当部署の指摘と利用ログで直し続ける。
たとえば、移住補助金の要綱からFAQを作る取り組みは、単に質問集を増やしているのではありません。 対象者、必要書類、申請期限、補助額の上限のように、職員が聞きそうな問いを先に置くことで、 AIがどの根拠文書を参照すべきかを確かめられます。実証運用で正答率、誤回答、未回答を数えるのも同じです。 何を聞かせるかが決まっているから、回答の良し悪しを感覚ではなく作業として確認できます。
文書整備も同じです。紙資料はOCRで文字化する必要があり、Excelは表記揺れや表の構造が問題になります。 録音ログは文字起こしして、問い合わせと回答の形に分けなければFAQとして使いにくいままです。 古い資料は、最新版と旧版を分けないと、AIが過去の扱いを現在の根拠のように返す可能性があります。
FAQや質問例を先に作り、精度を測れる状態にする
回答精度を上げる工夫は、文書を大量に入れる前から始まります。最初に必要なのは、職員が本当に聞く問いを いくつかの型に分けることです。質問の型がないまま実証を始めると、回答が悪かったときに、 文書が足りないのか、検索で見つけられていないのか、質問の聞き方が曖昧なのかを切り分けにくくなります。

図では、曖昧な聞き方をそのままAIに投げる状態から、FAQ・質問例を置き、正答、誤回答、未回答を分けて 見られる状態へ変える流れとしてまとめています。ここで整理すべきものはFAQの件数ではなく、「職員が聞きそうな問い」と 「根拠文書」と「測る数字」がつながっているかです。具体的には、次のような質問例から始めます。
- 補助金対象者、必要書類、申請期限、補助額の上限など、要綱のどこを根拠に答えるかを試す。
- 選挙事務法令、過去Q&A、執務資料のどれを見ればよいかを分け、判断の根拠を確認する。
- 庁内問い合わせよく聞かれる質問を先に置き、回答できる質問、できない質問、原課に確認する質問を分ける。
質問例を先に作る意味は、FAQを増やすことだけではありません。質問と根拠文書を対応させておくと、 AIが正しい文書を参照できたか、回答の中に根拠と違う内容が混ざっていないか、回答できなかった問いはどの種類かを確認できます。 実証運用で、利用回数、回答可否、正答率、不十分回答、誤回答を数えるには、先に試す質問の型を決めておきます。
移住補助金5制度の要綱を対象に、生成AIでFAQリストを作り、FAQと要綱をRAGでつないだ。 FAQの85%以上が業務で活用可能、満足度4.8/5.0、機能検証で誤回答なし。
選挙管理委員会の法令・書籍PDFと過去Q&Aを対象に、質問例を用意し、文書のノイズや文字化けを整えてからRAGで検証した。 選挙関連業務の問い合わせで回答精度約9割。非構造化文書や暗黙知は課題として残った。
市のデータベースを使う自然言語質問を対象に、実証運用で利用状況、回答可否、正答率、不十分回答、誤回答を数えた。 139回利用、75件回答、70件正答。正答率93.3%、完全な誤回答は0件。
誤回答が出たときも、質問例があると直し方を分けられます。根拠文書が足りないなら文書を追加する。 文書はあるのに見つからないなら、用語や表記揺れを整える。回答文の組み立てがずれているなら、指示文やFAQを直す。 この切り分けができると、精度改善が「AIが賢いかどうか」の話だけで終わりません。
対象業務を絞り、根拠文書のセットを作る
精度を出すには、最初から全庁の文書を広く入れすぎない判断もあります。対象業務を絞るのは、 小さく始めるためだけではありません。どの文書を根拠にするか、誰が正しさを確認するか、 どの質問で試すかを決めるためです。道路・建築、福祉・相談、契約・会計、議会準備では、使う文書も確認する部署も違います。

図では、対象業務を中心に置き、根拠文書、確認担当、試す質問をセットで決める考え方として整理しています。 先にこの関係を整理してから、業務ごとの文書例に進みます。
- 契約・会計業務マニュアル、契約関係の規則、会計基準、様式集をそろえ、会計・契約の担当課が確認する。
- 福祉・相談法令、通知、相談事例、事務連絡を分け、制度改正や個別事情をどこまで回答に含めるかを決める。
- 議会準備会議録、議案資料、条例・規則、過去答弁を並べ、過去の発言と現在の根拠を混ぜないようにする。
- 道路・建築条例、基準、台帳、過去照会を分け、専門用語や図面・表の扱いを事前に確認する。
ひとまとめに「庁内文書」と呼ぶと、どの文書を見て回答したのか、誰が確認するのかが見えにくくなります。 対象業務を絞ることは、対象を小さくする作業というより、根拠と確認責任を明らかにする作業です。
逆に、文書を大量に入れるだけでは、AIが間違えたときにどの部署が直すのかが曖昧になります。 最初の範囲は小さく見えても、業務と文書と確認担当がそろっている方が、後から横展開しやすくなります。
図の棚は、部署名の一覧ではなく「回答の根拠として扱う文書の束」です。ここが決まると、 ベンダーに渡す文書の範囲、原課に確認してもらう内容、実証で試す質問、効果測定で使う数字を同じ単位でそろえられます。 全庁展開を考える場合でも、最初の検証単位は業務と文書のセットで持つ方が、後から説明しやすくなります。
食品衛生の許認可事務で、過去の類似事案、参考事例、法令通知、疑義解釈を対象にした。専門部署では、文書名よりも事案の中身で探せることが検討しやすさにつながる。
契約・会計・人事・福利厚生で、契約事務、会計事務、庶務手続きのマニュアルや規則を対象にした。全庁で使う場合も、まず質問が集中する業務と文書の束を決める必要がある。
議会答弁準備で、過去議事録、政策資料、過去答弁を対象にした。過去答弁の検索だけでなく、現在の方針に合う表現へ担当課が直す前提で整理する。
財務会計・高圧ガス・人事労務で、業務初任者がつまずきやすい分野の根拠資料URLを対象にした。業務ごとに原課が正しい回答と根拠資料をひも付けると、検証単位が明確になる。
文書をAIが検索できる形に整え、古い資料や表記揺れを減らす
文書を対象に入れるだけでは、回答精度は安定しません。AIが参照できる文書にするには、形式、表記、ログ、鮮度を分けて整えます。 見た目には読める文書でも、AIが検索できる本文、列、日付、版数として取り出せなければ、根拠として安定して使えません。

図では、元データ、起きる問題、整える作業、使える状態の4つに分けて、文書整備で確認する点をまとめています。 OCRやExcelの話は細かい作業に見えますが、ここを曖昧にすると「文書は入っているのに回答に出ない」という状態が起きやすくなります。
- PDF・紙資料スキャン画像のままでは本文検索にかかりません。OCR後も、誤読、表の崩れ、注記や押印欄の扱いを確認します。
- Excel・表列名、略称、年度ごとの表記揺れをそろえます。「道路舗装」「道路 舗装」「舗装(道路)」のような違いも検索精度に影響します。
- 録音・問い合わせログ文字起こしし、個人情報やノイズを取り除き、質問と回答の単位に分けます。保存した録音を、再利用できるFAQや根拠資料へ変える工程です。
- 古い資料過去の通知、旧様式、改正前の条例、古いFAQを最新版と分けます。過去には正しかった情報を、現在の根拠として返さないためです。
大阪市では、条例、規則、業務マニュアル、質疑応答集をAIが判読・参照しやすい形式に整えた。
藤沢市の建築指導では、紙やExcel、専門用語、表記揺れが精度に影響し、データ整備と指示文の調整を繰り返している。
横浜市の選挙事務では、法令・書籍PDFと質疑応答データを使う前に、文字化けや不要部分を整理した。
横須賀市では、通話録音を文字起こしし、有効録音870件から499件のナレッジを作った。
図の「使える状態」は、AIが何となく処理できる状態ではありません。PDF・紙資料は本文検索できること、 Excel・表は同じ言葉で探せること、録音はFAQにできること、古い資料は最新版を参照できることが目安です。 文書整備をここまで分けておくと、精度が出ないときに「モデルが悪い」という説明で終わらず、 OCR、表記、ナレッジ化、旧版管理のどこを直すべきかを見分けやすくなります。
参照元と権限をそろえ、安心して使える範囲を決める
庁内RAGで価値が大きいのは、回答文そのものよりも、根拠文書を確認できることです。 参照元表示は、AIの回答を信じるための飾りではありません。職員が原文を開き、文書名、該当箇所、 更新日、前後の文脈を確認するための入口です。回答が自然に見えても、根拠文書が古い、該当箇所が違う、 抜粋の前後の文脈で意味が変わる、ということは起こりえます。

図では、職員の質問、AIの回答、参照元、原文を確認する動き、権限で見てよい文書だけに絞る動きを分けています。 参照元と権限を同じ図に置いているのは、どちらか一方だけでは安心して使える状態にならないからです。
もう一つ分けて考えたいのが権限です。「庁内から使える」ことと「その職員が見てよい文書だけが出る」ことは同じではありません。 職員ID、所属グループ、部署異動、兼務、限定公開フォルダの扱いがずれていると、検索結果に出してはいけない文書が混ざる可能性があります。 逆に権限を厳しくしすぎると、本来必要な文書が出ず、職員は結局、人に聞くことになります。
- 参照元文書名だけでなく、保存場所、ページ、条項、更新日まで確認できるかを確認する。原文確認できない回答は、業務判断に使いにくくなります。
- 権限職員ID、所属グループ、兼務、限定公開フォルダと連動し、見てよい文書だけが検索結果に出るようにする。
- 異動時の更新人事異動や組織改編のあとに、誰が権限情報を更新するのかを決める。ここが遅れると、必要な文書が見えない、見えてはいけない文書が出る、の両方が起きます。
導入前に確認したいのは、参照元の表示形式だけではありません。文書名だけ出るのか、URLや保存場所まで表示されるのか、 ページや条項まで分かるのか、更新日を確認できるのか。権限については、既存の職員IDや所属グループと連動できるのか、 異動時に誰が更新するのかまで決めておくと、利用開始後の不安が減ります。
ファイルサーバと職員向けポータルを対象に、文書の中身から検索し、原文を開ける入口を作る。 文書名を知らなくても探せることと、原文確認できることを分けずに設計する。
ファイルサーバ、Webサーバ、NASを対象に、複数の置き場を横断検索し、必要な文書へ早く届く状態にする。 置き場が分かれている自治体では、対象範囲と更新方法を先に決める必要がある。
部署限定で使うRAGを対象に、所属別に利用範囲を分けた。 便利さだけで広げると、異動や兼務のたびに権限更新が運用負担になる。
回答と根拠資料URLを対象に、回答だけでなく、根拠資料URLを表示し、原課が正しい資料とひも付けた。 参照元があると、職員が回答を鵜呑みにせず原文を確認しやすくなる。
原課と利用ログで、誤回答や未回答を直し続ける
回答品質を上げる作業は、AI担当部署だけでは完結しません。誤回答や未回答を直すには、 業務を知っている原課(業務担当部署)が「何が違うのか」を指摘できる状態を作ります。 回答が間違っている理由は一つではありません。根拠文書が不足している場合もあれば、 文書はあるのに検索されていない場合、専門用語や略称が登録されていない場合、回答文の作り方がずれている場合もあります。

図では、質問、回答、原課からの指摘、FAQや根拠資料の更新を一つのループとして整理しています。 導入直後から完璧な回答を出すことよりも、誤回答や未回答を次の改善に変えられるかが、継続的な精度向上を左右します。
- 文書不足根拠文書そのものが入っていない。原課に、追加すべき通知、FAQ、様式、過去照会を確認してもらう。
- 検索の失敗文書はあるのに見つからない。用語、略称、表記揺れ、文書名、タグ付けを見直す。
- 回答文のずれ根拠は確認できているが、回答のまとめ方が業務判断に合わない。回答テンプレートやFAQの書き方を直す。
- 利用ログ多い質問、未回答になった質問、低評価の回答、よく参照される文書を確認する。利用回数だけでは、次に直す場所は分かりません。
良い回答に評価を付けてもらう運用も、満足度を聞くだけの調査ではありません。 どの文書を根拠に、どの言い方で答えると職員が使いやすいのかを残すための手がかりになります。
原課から誤回答を指摘してもらい、正しい回答と根拠資料をひも付け、専門用語も登録する。 RAGは導入時に完成するのではなく、原課の指摘で回答精度を上げる運用が必要になる。
良い回答が出たときはグッドボタンを押すよう声かけし、資料の格納方法や質問の仕方にも慣れていった。 職員側の使い方と資料の入れ方がそろうほど、回答の使いやすさが上がる。
独自データを使った専門家AIを職員側で作成・改善し、回答の根拠となるソースも確認できるようにした。 ベンダー任せではなく、庁内で直せる範囲があると、業務ごとの小さな改善を続けやすい。
質問内容と回答を日々確認しながら回答内容を調整し、職員が回答理由を確認・変更できる仕組みにした。 正答率を出すだけでなく、運用中に回答を直せることが次の実証につながる。
RAGは「学習」とだけ書くと誤解を招きます。職員の質問に対して、既存文書を検索し、該当する文書をもとに回答を組み立て、 参照元を返す仕組みです。だからこそ、導入後に確認するログも「何回使われたか」だけでは足りません。 未回答になった質問、誤回答として指摘された回答、よく参照される根拠資料、更新が必要なFAQを確認し、 文書と運用を直し続けることが品質を左右します。
第5章
自治体が選んだ製品と、その採用理由
製品群と採用条件を確認する庁内RAG・文書検索AIで気になるのは、どの製品が選ばれていて、自治体が何を理由に採用したのかです。 45件の導入事例を整理すると、同じ生成AIやRAGでも、製品ごとに評価されていた条件はかなり違います。 LGWAN対応や定額制を重視した事例もあれば、ファイルサーバの横断検索、既存チャットとの接続、 原課(業務担当部署)が回答を直せる運用、導入後の伴走支援を重視した事例もありました。
製品名は、ランキングとして扱うものではありません。 庁内RAGは、AIモデルだけで差が出るというより、どの文書を対象にするか、どのネットワークで使うか、 誰が見てよい文書をどう分けるか、誤回答や未回答を誰が直すかで使いやすさが変わります。 そのため製品を整理するときも、機能名より先に、自治体が採用時に重視していた運用条件を確認します。
この章では、製品名を単純に並べるのではなく、次の順番で説明します。
- 登場数45件の導入事例内で、どの製品名が複数回出ているかを確認する。
- 採用理由LGWAN、定額、文書量、原課修正、業務アプリ連携など、自治体が重視した条件を整理する。
- 立ち位置全庁で使うのか、業務を絞るのか。原文検索に近いのか、回答・文書案まで作るのかを整理する。
- 製品別同じ製品でも自治体ごとに使い方が違うため、採用理由と実際の使い方を分けて整理する。
複数登場製品は全庁展開と文書検索で使われている
下の割合は市場シェアではなく、公開事例45件の中での登場割合です。 件数が多い製品は全庁展開や文書検索の事例が厚く、1件ずつ登場する製品には、契約、議会、引継ぎ、 業務アプリ連携など、より具体的な用途に寄せた採用理由が出ています。
図解では、複数回登場した製品を、件数と採用理由の短いラベルで並べました。主に確認する点は次の3つです。
- exaBase 生成AI for 自治体は、全庁で生成AIとRAGを使う前提で選ばれた事例が目立ちます。
- Neuron ESは、AIに回答を作らせるというより、分散した庁内文書を早く探す検索基盤として使われた事例が目立ちます。
- LoGoAIアシスタント、minnect AIアシスト、ChatSense、NTT東日本の生成AI/RAGソリューションは、既存チャット、LGWAN、定着支援、PoCや研修を含む伴走支援など、導入後に使い続ける条件が採用理由に出ています。

補足この図は、45件すべての製品名を並べた一覧ではなく、複数回登場した製品を中心に整理したものです。45件の内訳は、複数回登場した6製品が22件、1件のみ登場する製品・実証が23件です。この小セクションでは、複数回登場した製品と、この章の後半で採用理由を詳しく扱う主な1件登場製品を中心に扱っています。合計は45件です。
静岡県、滋賀県、金沢市、四日市市、港区、郡山市
LGWAN対応、全庁展開、RAG機能、アカウント数や利用量の扱いやすさ。
神戸市、京都市、兵庫県、石川県庁、秋田県、石川県
ファイルサーバや庁内文書を横断検索し、権限や夜間更新を含めて運用できること。
島田市、伊勢原市、四街道市
既存チャットや専用Web画面から使え、研修や質問文テンプレートと合わせて広げやすいこと。
藤沢市、岡山県
LGWAN環境、RAG、セキュリティ、定着支援、ファイル読解などの拡張性。
下妻市、群馬県
独自データを使った専門家AI、RAG精度、料金上限、職員側で改善しやすい操作性。
横浜市、藤沢市
PoC、研修、データ整備、プロンプト調整まで含めた伴走支援。
各1件で登場した製品には、GaiXer、QT-GenAI / 庁内RAG環境、OfficeBot、QuickSolution、おとなりさん、コグモエンタープライズ生成AI、コリニア RAG生成AIツール、AI職員ばりぐっどくん for kintone、Amazon SageMaker / Amazon Q / Amazon Bedrock、Polimill QommonsAI、生成AI搭載の議会事務支援システム、職員ナレッジ可視化実証、ナレッジ構築支援サービス などがあります。 件数は少なくても、特定業務や既存基盤への組み込み方が分かる事例として参考になります。
- QuickSolutionは、大量のファイルサーバから原文を探す使い方が分かる事例です。
- AI職員ばりぐっどくん for kintoneは、議会答弁モデルの回答を職員が編集し、kintone上へ保存する流れまで確認できます。
- コグモエンタープライズ生成AIは、原課が誤回答を指摘し、正しい回答と根拠資料を結び直す運用が特徴です。
件数が多い製品は全庁展開の参考になり、1件登場の製品は「どの業務に深く組み込むか」を考える材料になります。
LGWAN・権限・研修を製品条件に入れる
製品名を並べるだけでは、なぜ選ばれたのかが見えにくくなります。 採用理由を整理すると、自治体が重視していた条件は大きく5つに分かれます。
図解では、採用理由を「LGWAN・安全性」「定額・アカウント」「文書量・権限」「原課が直せる」 「業務アプリ連携」の5つに分けました。これは製品機能の分類ではなく、自治体が導入後に困りやすい場所の分類です。
- 回答性能が高くても、LGWAN側で使えなければ庁内利用に乗りません。ログや権限管理もあわせて確認します。
- 利用量を見通せないと年度予算で説明しにくくなります。全庁展開では、アカウント数や利用上限の扱いを先に確認します。
- 対象文書が多いほど、古い文書、権限外文書、部署ごとの文書差をどう制御するかが問題になります。
- 誤回答や未回答が出たとき、原課が根拠資料と回答を結び直せるかが、導入後の品質に効きます。
- 回答を確認して終わりではなく、編集、保存、申請、議会答弁などの業務画面につなげられるかを確認します。
- 利用環境LGWAN(自治体専用の閉域ネットワーク)やログ、権限管理を庁内運用に合わせられるか。
- 費用の見通し定額制、アカウント数、利用上限が、全庁展開や年度予算に合うか。
- 文書と権限ファイルサーバ、文書管理、FAQ、手引書をどこまで対象にし、誰が見てよい文書をどう制御するか。
- 直せる運用誤回答や未回答を、原課の指摘で根拠資料や回答文に反映できるか。
- 業務への接続回答案を確認して終わりではなく、編集、保存、申請、議会答弁などの業務の流れに入れられるか。

この5つは、別々に見えるようでつながっています。 図解の各要素は、導入前の確認順としても使えます。
- まずLGWAN、ログ、権限管理で庁内利用に耐えられるかを確認します。
- 利用者が増えても年度予算の範囲で説明しやすいか、アカウント数や利用上限をどう扱うかを確認します。
- どの文書を検索対象にするかだけでなく、最新文書と古い文書を分け、所属や職務に応じて見てよい文書を絞れるかを確認します。
そのため、採用理由は「高機能だから」だけでは説明しきれません。 静岡県や金沢市のように、全職員展開、RAG、アカウント数や利用量の扱いやすさを重視した事例もあれば、 神戸市や京都市のように、膨大な庁内ファイルを横断検索し、原文を確認できることを重視した事例もあります。 茨城県や下妻市のように、原課が回答内容を確認し、根拠資料との結びつきを直せる運用を重視した事例もあります。 どの条件を重く扱うかで、候補になる製品は変わります。
全庁利用と業務特化で支える範囲を分ける
さらに製品ごとの立ち位置を整理すると、「全庁で使うか、業務を絞るか」と「原文検索に近いか、回答・文書案まで作るか」で違いが出ます。 製品名が同じ生成AIの分類に入っていても、実際の採用理由はこの位置づけでかなり変わります。
図解の縦軸は、全庁で広く使うのか、特定の業務や文書セットに絞って使うのかを表しています。 横軸は、原文を探して職員が確認する使い方に近いのか、AIが回答案や文書案まで作る使い方に近いのかを表しています。 この2つを分けると、「同じ庁内RAG」という名前でも、導入時の確認項目がかなり変わります。

図解の4象限では、製品名の違いを次のように整理できます。
- 文書作成、要約、問い合わせ、議会答弁などに広く使う場合は、LGWAN、利用上限、アカウント数、研修、ログ管理が導入後の運用に効いてきます。
- ファイルサーバ、文書管理システム、グループウェアなどに分散した文書を探す使い方では、検索対象の文書量、ファイル形式、権限連携、夜間更新の安定性を確認します。
- FAQ、手引書、ナレッジ、マニュアルなどを対象にする場合は、文書セットの作り方が精度に直結します。文書数が少なくても、対象範囲が曖昧だと回答は安定しません。
- 業務に組み込む場合は、AIの回答をそのまま使うのではなく、原課が確認し、根拠を表示し、編集して保存できる流れを確認します。
製品名ごとに採用理由と実際の使い方を分けると、選定時の条件と導入後の役割を混同せずに比べられます。 同じ製品でも自治体ごとに使い方は異なりますが、採用時に重視した条件を整理すると、 自分の自治体で比較するときの確認条件を整理しやすくなります。
表では、製品ごとに「なぜ選ばれたか」と「実際にどこで使ったか」を分けています。 採用理由だけを整理すると安全性や料金の話に寄りやすく、実際の使い方だけを並べると便利な利用例の羅列になりやすいためです。 庁内RAGでは、選定時に評価した条件と、現場で使われた文書・業務をセットで整理すると、製品名の違いが具体的になります。
主要製品は対象文書・利用環境・改善運用で選ぶ
採用理由LGWAN対応、RAG、全職員展開、定額・アカウント数の扱いやすさが採用理由として出ています。静岡県ではRAGフォルダを無制限に作れることや削減時間を可視化できること、金沢市ではアカウント数無制限、定額、RAGが基本プランに含まれることが重視されていました。
実際の使い方交付金要綱との突合、システム利用マニュアルへの問い合わせ、議会答弁の下書き、庁内FAQなど、全庁で使いながら部署ごとの文書を入れていく使い方。
採用理由AI回答を作るよりも、庁内の原文に早くたどり着くことが評価されています。石川県庁では庁内サーバ設置、Active Directory連携、夜間のクローリング、費用対効果の説明が導入検討のポイントになっていました。
実際の使い方ファイルサーバ、文書管理システム、グループウェアなどに分散した文書を横断検索し、職員の閲覧権限に沿って必要な原文を確認する使い方。
採用理由既存のLoGoチャット上で使えること、LGWAN環境で使えること、サポートや研修で庁内に広げやすいことが採用理由になっています。四街道市では、運用中のチャット上で使えたことと、導入後のサポートが評価されていました。
実際の使い方文章作成、通達文書の要約、議会答弁資料の作成に加え、議会定例会の会議録や契約事務・文書事務の手引書をRAGに入れる使い方。
採用理由LGWAN環境、RAG、セキュリティ要件、導入後の技術支援・定着支援が選定理由として出ています。岡山県では定額制による予算の見通し、藤沢市では手探りの導入を支えるサポートも重視されていました。
実際の使い方庁内に閉じた生成AI利用、議事録や例規集など自治体特有文書の参照、長文資料やPDFの要約・分析、職員研修とセットでの利用拡大。
採用理由セキュアな生成AI環境、独自データを使ったRAG、職員が専門家AIを作成・改善できることが採用理由です。群馬県ではRAGの精度、読み込み時間、ドラッグ&ドロップで作れる操作性、料金上限やライセンス配分も評価されていました。
実際の使い方議事録検索、職員向け質問対応チャットボット、引継ぎ資料・業務マニュアルの検索、専門分野のQ&A、コード生成による庁内DX支援。
採用理由ファイル名だけでなく中身まで探せる全文検索と、異動後も引き継ぎやすい管理画面が選定要件でした。基幹系と情報系の2つのファイルサーバに適用し、約10TB、約1500万ファイルを検索対象にしています。
実際の使い方大量の庁内ファイルから過去資料、ひな形、会議資料を探す業務。AI回答よりも、原文検索そのものの時間短縮が中心。
採用理由複数のLLMを使えること、直感的に使えるUI、自治体予算で扱いやすい料金体系が重視されていました。従量課金だと年度途中の超過や追加予算が難しいため、料金の見通しは採用理由として大きく扱われています。
実際の使い方契約事務、会計、人事・福利厚生などに広げ、マニュアルに沿ったチェックや問い合わせ対応に使う。2業務から14業務へ広がった点も特徴。
採用理由複数製品で検索と回答の精度を比較したうえで採用されています。職員が管理画面でチューニングでき、原課から誤回答を指摘してもらい、正しい回答と根拠資料を結び直せることが特徴です。
実際の使い方財務会計、高圧ガス、人事労務など、初任者がつまずきやすい専門分野で、法令、通知、業務マニュアルから根拠付き回答を返す使い方。
採用理由LGWAN-ASP経由で安全に使えることに加え、生成AIをきっかけにkintoneに慣れてもらい、その後の業務アプリ展開につなげられることが評価されていました。
実際の使い方議会答弁向けモデルで過去の議事録や総合計画を参照し、AIの回答を職員が右側の編集エリアで調整し、kintone上に保存する使い方。
- exaBase 生成AI for 自治体やminnect AIアシストは、利用環境、RAG、研修、定着支援が採用理由に出やすい製品です。
- Neuron ESやQuickSolutionは、回答生成よりも、庁内に散らばった文書を早く探し出す使い方として位置づけられます。
- LoGoAIアシスタントは既存チャットや研修と組み合わせて広げる事例があり、AI職員ばりぐっどくん for kintoneは議会答弁モデルの回答を職員が編集・保存する流れまで含めて確認します。
つまり、製品比較で最初に整理すべきなのは「どれが一番高機能か」ではなく、 自分の自治体で減らしたい作業が、原文検索なのか、問い合わせ回答なのか、文書案作成なのか、業務アプリへの保存まで含むのかです。 そのうえで、対象文書、権限、更新責任、原課確認、費用の見通しを合わせて整理すると、採用理由を自分の庁内説明に置き換えやすくなります。
製品名を比べるときは、機能名だけでなく、自治体が何を採用理由にしていたかまで確認すると違いが出ます。 全庁で広く使うなら利用環境と運用のしやすさ、文書検索なら権限と対象文書量、業務特化なら原課が直せる仕組み、 業務基盤連携なら回答を編集・保存できる流れまで確認したいところです。
References
参考にした導入事例
自治体の公開資料、提供事業者の導入事例、自治体向けメディアの記事から、対象文書と運用を確認しています。主な公開事例を以下に掲載します。
横浜市 / NTT東日本 生成AI/RAGソリューション
出典元の記事を読む神戸市 / Neuron ES
出典元の記事を読む京都市 / Neuron ES
出典元の記事を読む北九州市 / QT-GenAI / 庁内RAG環境
出典元の記事を読む熊本市 / おとなりさん
出典元の記事を読む静岡県 / exaBase 生成AI for 自治体
出典元の記事を読む藤沢市 / 自治体向け 生成AIソリューション
出典元の記事を読むいわき市 / OfficeBot
出典元の記事を読む横須賀市 / コリニア RAG生成AIツール
出典元の記事を読む金沢市 / exaBase 生成AI for 自治体
出典元の記事を読む石川県庁 / Neuron
出典元の記事を読む四日市市 / exaBase 生成AI for 自治体
出典元の記事を読む郡山市 / exaBase 生成AI for 自治体
出典元の記事を読む橿原市 / QuickSolution
出典元の記事を読む三条市 / ナレッジ構築支援サービス
出典元の記事を読む四街道市 / LoGoAIアシスタント
出典元の記事を読む日進市 / Polimill QommonsAI
出典元の記事を読む西海市 / AI職員ばりぐっどくん for kintone
出典元の記事を読む下妻市 / ChatSense
出典元の記事を読む茨城県 / コグモエンタープライズ生成AI
出典元の記事を読む取手市 / 生成AI搭載の議会事務支援システム
出典元の記事を読む群馬県 / ChatSense
出典元の記事を読む秋田県 / Neuron ES
出典元の記事を読む奈良県 / ソフトバンク 生成AIサービス
出典元の記事を読む