🔰 はじめに
デジタルマーケットプレイス(DMP)とは、デジタル庁が提供する、行政機関がクラウドソフトウェア(SaaS)を迅速に調達できる環境を整備するための新たな調達手法です。
本記事では、行政職員の皆様からよくいただく質問を、利用料、契約の流れ、掲載ソフトウェア、入札制度との違いなど、実務に役立つ観点から詳しく解説します。
💰 よくある質問①:利用料は?契約の流れは?
DMPの利用にあたって、多くの行政職員の方が気にされるのが「費用」と「契約の流れ」です。ここでは、これらの基本的な疑問にお答えします。
Q1-1: DMPの利用に費用はかかりますか?
DMPは行政機関が無料で利用できるプラットフォームです。ただし、DMP上で選定したソフトウェアやサービスを実際に調達する際は、当然ながら事業者への支払いが発生します。DMP自体は「調達の場」を提供するプラットフォームであり、その利用自体には費用はかかりません。
DMPの利用自体は無料ですが、実際の調達には予算が必要です。カタログサイトでソフトウェアの価格情報を確認してから、予算策定を行いましょう。
Q1-2: DMPを利用した調達の契約の流れはどうなりますか?
DMPを利用した調達は、以下のステップで進みます:
Q1-3: 行政機関側で必要な手続きは何ですか?
行政機関側で必要な主な手続きは以下のとおりです:
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| アカウント登録 | 行政機関のドメインメールアドレス(go.jpドメインやlg.jpドメイン等)でDMPカタログサイトにアカウント登録 |
| 利用規約への同意 | デジタル庁・行政機関等間の利用規約に同意 |
| 調達仕様チェックシートの作成 | 調達する製品・サービスの要件を整理したチェックシートを作成 |
| 指名基準の整備 | 指名競争入札を行う場合、DMPを活用した調達に対応した指名基準の策定が必要(地方公共団体の場合) |
| 庁内ルールの整備 | 必要に応じて、DMPを活用した調達方法を庁内の調達ルールに位置づける |
📦 よくある質問②:どんなソフトが掲載されている?
DMPにはどのようなソフトウェアが掲載されているのか、掲載条件は何か、など、カタログの内容に関する質問にお答えします。
Q2-1: DMPではどのような種類のソフトウェアが取り扱われていますか?
DMPでは主にクラウドソフトウェア(SaaS)とその導入支援サービスが取り扱われています。具体的には、オンプレミスサーバー上に構築されたソフトウェアではなく、クラウドを利用しパッケージ化されたソフトウェアが対象です。
DMPで取り扱うソフトウェアの対象範囲
調達可能なソフトウェアの種類を明確化
DMPで調達できるもの・できないもの
なお、事業者による受託開発が必要なローコード開発ツール等のSaaSは、ライセンスのみであればDMPを通じて調達できますが、ライセンスを用いた受託開発については、従来通りの競争入札での調達となります。
Q2-2: DMPに掲載されるソフトウェアはどのような条件を満たす必要がありますか?
DMPに掲載されるソフトウェアは、以下の条件を満たす必要があります:
Q2-3: DMPに登録されているソフトウェアのカテゴリーにはどのようなものがありますか?
DMPに登録されているソフトウェアは、「目的タグ」と「機能タグ」で分類されています。主なカテゴリーには以下のようなものがあります:
主な目的タグ
主な機能タグ
例えば、財務用のソフトウェアを調達したい場合、「目的タグ」で「財務」を選び、「機能タグ」で「電子帳票作成・保存」を指定することで、条件に合うソフトウェアを効率的に検索できます。実際のソフトウェア検索では、必要な機能を最優先で考え、目的タグと機能タグを組み合わせて検索すると効率的です。また、DMPではセキュリティ要件や動作環境などの詳細条件でも絞り込みが可能です。
📋 よくある質問③:入札制度とどう違う?
従来の入札制度とDMPによる調達の違いは、行政職員にとって最も重要なポイントの一つです。ここでは、制度面での相違点を詳しく解説します。
Q3-1: 従来の入札制度とDMPによる調達はどのように違いますか?
従来の入札制度とDMPによる調達の比較
調達プロセスの違いを明確化
主要な5項目での比較
| 項目 | 従来の入札制度 | DMPによる調達 |
|---|---|---|
| 調達プロセス | 行政機関が独自に仕様書を作成し、それに対して複数の事業者が提案と価格を提示 | 事前に登録されたカタログから検索・選定し、条件に合う事業者と直接契約 |
| 調達期間 | 通常3ヵ月以上 | 数週間程度に短縮可能 |
| 仕様作成 | 詳細な調達仕様書を作成(20〜50ページ程度) | 調達仕様チェックシート(数ページ)で簡素化 |
| 事業者の参入障壁 | 高い(入札手続きの負担が大きく、新規参入が難しい) | 低い(手続きが簡素化され、中小企業やスタートアップも参入しやすい) |
| 市場の透明性 | 低い(どのようなサービスが存在するか把握しづらい) | 高い(カタログサイトにより市場が可視化される) |
Q3-2: DMPでの選定結果に基づく調達方法(随意契約・指名競争入札)はどのように決まりますか?
DMPでの選定結果に基づく調達方法は、選定された事業者の数によって以下のように決まります:
また、予定価格によっても調達方法は異なります:
| 予定価格の規模 | 調達方法 | 概要 |
|---|---|---|
| 少額(地方公共団体の場合) | 少額随意契約 | 予定価格が一定額以下(例:総額100万円未満、物品購入80万円未満、役務提供50万円未満など)の場合、各行政機関のルールに従って少額随意契約を行います。 |
| 高額 | 指名競争入札(最低価格落札方式) | 予定価格が高額(例:地方公共団体の場合2075SDR(約3600万円)以上)の場合、指名競争入札により最も低い価格で入札した事業者と契約します。 |
Q3-3: DMPを活用する際の法制度上の位置づけはどうなっていますか?
DMPを活用した調達の法制度上の位置づけは以下のとおりです:
📞 問い合わせ先や情報収集のコツ
DMPの活用にあたって、困ったときの問い合わせ先や、効果的な情報収集の方法を知っておくことは重要です。ここでは、実務で役立つ情報源と活用のコツをご紹介します。
Q4-1: DMPに関する公式の問い合わせ先はどこですか?
DMPに関する公式の問い合わせ先は以下のとおりです:
問い合わせ可能な内容
Q4-2: DMPに関する最新情報はどこで入手できますか?
DMPに関する最新情報は以下のチャネルから入手できます:
公式情報源
関連情報源
| 情報源 | 内容 |
|---|---|
| デジタル庁のnoteアカウント | 「デジタル庁からのお知らせ」でDMP関連のコラムや解説 |
| 総務省「地方公共団体における情報システム調達関連情報」 | 地方公共団体向けの調達情報 |
| 各都道府県の自治体DX推進担当部署 | 地域別の支援情報 |
| 地方公共団体情報システム機構(J-LIS) | 自治体向けの技術情報 |
| 業界団体(JIPDEC等) | 業界動向やレポート |
DMPは2024年10月に正式版カタログサイトがリリースされ、2025年3月には行政機関向けの調達機能が完全開放される予定です。デジタル庁の公式発表を定期的にチェックすることで、最新の動向や機能拡充などの情報を入手できます。
Q4-3: DMPに関する効果的な情報収集のコツはありますか?
DMPに関する効果的な情報収集のコツをいくつかご紹介します:
DMPカタログサイトは定期的に新しいソフトウェアやサービスが追加されています。定期的にアクセスして、どのようなソフトウェアが登録されているか確認することで、調達の際の選択肢が広がります。
他の行政機関のDMP担当者とのネットワークを構築し、情報交換を行うことで、実践的なノウハウや先行事例を知ることができます。デジタル庁主催の説明会やセミナーは、そうした人脈形成の場としても活用できます。
実際にDMPカタログサイトにログインし、検索機能や比較機能を試してみることで、操作方法を習得し、調達時にスムーズに利用できるようになります。特に「調達モード」のON/OFFの切り替えなど、実際に操作して理解を深めましょう。
デジタル庁が提供する「調達利用ガイドブック」や「Q&A」、「操作マニュアル」などの資料は、DMPを活用する上で非常に有用です。これらの資料を十分に活用しましょう。
DMP正式版の利用が進むにつれて、先行して導入した行政機関の事例が公開されていきます。これらの事例を参考にすることで、効果的な活用方法や注意点を学ぶことができます。
DMPカタログサイトでは「調達モード」をOFFにすることで、より自由な検索が可能になります。企画段階や予算策定のための情報収集の際には「OFF」で利用し、実際の調達で対象を絞り込む際には「ON」にするという使い分けを覚えておくと便利です。
行政職員向けDMP研修・説明会情報
デジタル庁では、行政職員向けにDMPの活用方法に関する説明会やウェビナーを定期的に開催しています。これらの機会を活用することで、DMPの最新情報や活用のコツを効率的に学ぶことができます。
説明会の情報はデジタル庁ウェブサイトの「イベント・説明会」コーナーで確認できます。また、過去の説明会資料も公開されていることがありますので、参考にしてください。